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サステナブルな飼料と養殖で生まれたサーモン 三重県多気町の未利用資源と微細藻類が飼料

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多気サステナブルサーモン

 日々の食卓に上ることも多い養殖魚。養殖生産は世界規模で年々伸びる中、養魚用飼料の重要なタンパク質源として天然魚を主成分とする魚粉が使用され続けることが課題となっているという。この問題を解決するため、株式会社ユーグレナ(東京)と三重県多気町、中部プラントサービス(名古屋市)の3者による地域産業開発コンソーシアム「もっとバイオ多気」(多気町)が、“サステナブル”な飼料と養殖方法で生まれたニジマス「多気サステナブルサーモン」を開発した

 ユーグレナ社は2005年に世界で初めて、微細藻類「ユーグレナ」(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功している。「多気サステナブルサーモン」の育成に使った多気ブランド飼料には、このユーグレナと、副産物や規格外品として廃棄されていた多気町産の伊勢芋・酒かす・松阪牛牛脂・米ぬか・ミカン・次郎柿・伊勢茶などを、脂質・ビタミン・ミネラルなどの供給源として配合し、飼料に含まれる魚粉の割合を減らした。また、多気町に広く生息し、生態系への影響が懸念されるアメリカザリガニも利用。これにより、色付け効果や、より魚好みの飼料になることが期待できるという。

 陸上養殖の方法を取り、閉鎖循環式(多気町)と地下水かけ流し式(石井養殖・岐阜県大垣市)で養殖を実施した。閉鎖循環式は水槽の水を常にろ過しながら再利用するため環境への負荷が少なく、設置場所の制約がないことなどから近年注目を集めている

 多気ブランド飼料で育成したニジマスは、市販飼料を与えた時よりも、苦味や雑味、うまみがアップして味が複雑になり、コクが期待できるという研究結果も出ている。多気サステナブルサーモンは、五桂池ふるさと村(多気町)内で三重県立相可高の生徒たちが運営するレストラン「まごの店」で、小鉢料理「花御膳」として登場する予定。

表敬訪問の様子(写真左から三重県 鈴木知事、多気町 久保町長、ユーグレナ社 代表取締役社長 出雲、三重県 更屋農林水産部長)
表敬訪問の様子(写真左から三重県 鈴木知事、多気町 久保町長、ユーグレナ社 代表取締役社長 出雲氏、三重県 更屋農林水産部長)