まめ学

家づくりの多様な視点を紹介 『段差のある家に住めば長生きできる』

段差のある家に住めば 長生きできる/カハ

 住宅はもとよりあらゆる建築の際にはいろいろな視点がある。常識と思われていることも、少し角度を変えてみてみると、新たな視点につながるかもしれない。幻冬舎からこのほど、『段差のある家に住めば長生きできる』(後藤欽也著)が発売された。税込み1760円。

 家を建てるという行為は、ほとんどの人にとって一生の買い物。筆者の後藤欽也氏は、建築には「知ってほしい考え方」がある一方で「忘れて欲しい常識や思い込みもたくさんある」と記している。薬に作用と副作用があるように、建築でも特定の工法や考え方には「時として副作用が出てしまうことがあるので注意が必要」とする。同書では、「建築の常識のウソ」「どうしたら資産価値があがる?」「建築家が教える土地の有効活用方」など建築にまつわるトピックを満載している。

 たとえば、一般的に耳にすることがある「建築は30年しか持たない」に対しては「学術的な調査では木造建築の平均寿命は65年。コンクリート作りとの違いはない」、「中古住宅には価値がない」に対しては「イギリスでは販売される住宅の9割は中古。世代ごとにバージョンアップし続けることで建築の価値が上がることも」など。また、「段差を極力作らないバリアフリーにこだわり過ぎることでかえって段差に弱くなってしまう」など、快適性の追求にも加減が必要なことなどを指摘する。自分がどういった家や建築を求めているのかを明らかにする一助にできそうだ。

 また、いざ家を建てる際の建築家や工務店との具体的なやりとりについても記している。「設計料無料・格安は得ではない」「要求を捨てれば捨てるほど価値ある建築ができる」「空間作りはゴールから設定してゆく」など実用的なハウツーや心がけを記載。著者が実際に手がけた建築物件も写真付きで紹介。検診センター・総合内科・小児歯科・別荘・保育園などさまざまな物件が、どういった意図を持って作られたかが分かる。