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今回の敵は進化したAI。イーサン・ハントの集大成『ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE』【映画コラム】

『ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE』(7月21日公開)

(C)2023 PARAMOUNT PICTURES.

 イーサン・ハント(トム・クルーズ)は、元IMF監督官のユージン(ヘンリー・ツェーニー)から、「大義のための戦いは終わりだ」と告げられる。

 これまでの自分の行いは善であったのかと葛藤するイーサンに下ったミッションは、世界の主要国が狙っている2本の鍵を入手すること。その鍵は全てを狂わせる悪魔の兵器とつながっており、悪人が手にすれば世界を支配できるほどのパワーが秘められているという。

 スパイアクション「ミッション:インポッシブル」シリーズの第7作。タイトルのデッドレコニングは「推測航法」のことで、航行した経路や進んだ距離、起点、偏流などから過去や現在の位置を推定し、その位置情報を基にして行う航法の意味。

 今回は、これまで数々の不可能(インポッシブル)と思われるミッションを完遂してきたイーサンについての集大成の物語となるため、彼の過去から現在に至るまでの旅路の果てに待ち受ける運命を描くということとも重なる。

 また、シリーズを通して数々の命懸けのスタントをこなしてきたクルーズは、今回も、全力疾走、車やバイクでのチェイスはもちろん、西部劇を思わせるような砂漠での乗馬、断崖絶壁からバイクで空中にダイブ、SL(蒸気機関車)上での死闘など、とても人間業とは思えないような、驚くべきアクションを披露する。

 ただ、アクションには長けているが、イーサンは、敏腕エージェントとしては情に厚過ぎ、人に対して甘過ぎるところがあるため、しばしばピンチに陥る。そこが彼の弱点であり、魅力でもあるのだが…。今回の敵は進化したAI。イーサンが大切に思う仲間を苦しめることで、彼を苦境に陥れる。イーサンの「誰も死なせない!」の一言が悲痛な叫びとなる。

 共演はサイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン、ビング・レイムスらおなじみのメンバーに加えて、前作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(18)からバネッサ・カービーも続投。新キャストとして「キャプテン・アメリカ」シリーズのヘイリー・アトウェル、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのポム・クレメンティエフらが加わった。