12月になると流行語大賞をはじめ「今年の〇〇」が続々と発表され、1年の終わりを感じます。何げなくテレビを見ていると、やれクリスマスプレゼントはどうしよう、大掃除はいつしよう、おせちはどうしようかしらなどなど、焦る話題がめじろ押しで、そわそわしてしまいます。子どもの頃は12月といえば、冬休みにクリスマス、お正月にはお年玉がもらえる、比較的楽しいことばかりの月だったはずが、年を重ね、やらなきゃいけないことが多い、ちょっぴり憂鬱(ゆううつ)な月になってしまいました。
「ぐりとぐらの1ねんかん」という絵本に、12月は「もうすぐ ことしと おわかれ さよならパーティーしましょう」というくだりがあります。「きたひとは ことし いちばんうれしかったことを おはなししてください」と続くのですが、この発想が、本当に素敵(すてき)だなと思い、昨年からまねしています。1年の終わり近辺に、会った人には「今年一番嬉(うれ)しかったこと」を聞くようにしていて、なかなか楽しいです。自分自身も振り返ると、今年は変化の多い1年でした。娘が小学生になり、毎朝1時間起床が早くなったり、昨年立ち上げた会社で、チョコレートブランドのローンチがあったり、公私共に新しいことに出会え、この年にして自分の成長を感じられました。
そんな私が今年一番嬉しかったことは、7歳の娘が、私の誕生日にサプライズパーティーを開催してくれたことです。料理は、私の母に頼んで私の好物の春巻きを作ってもらったり(そして娘の好物のラザニアもきっちりオーダー)、ケーキは私の友人に頼んで買ってきてもらったり(かわいいケーキという発注だったらしく、そこには娘の好みがだいぶ入っていると思われる)。勿論(もちろん)、周りの人の力なくしてはできないことばかりでしたが、7歳の娘が精いっぱい考えてくれたことに加えて、家族や友人の温かさもたっぷり感じられ、幸せな誕生日の夜でした。
自分のやりたいビジョンがあって、でも自分の力だけでは成し得ない時に、人に協力を求められること、そして協力してくれる人が周囲にいること、この二つがあれば、もしかしたらなんだってできる! そんなことを、娘が大人になるまでに、ゆっくりと気付いていってくれたらいいなと思っていたのですが、もう既にやれている、そのことが心から嬉しかったです。親バカですね(笑)。
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 50からの転載】
平井理央(ひらい・りお)/1982年東京生まれ。2005年、慶應義塾大学法学部卒業後、フジテレビ入社。スポーツニュース番組「すぽると!」のキャスターを務め、オリンピックをはじめ国際大会の現地中継などに携わる。13年フリーに転身。ニュースキャスター、スポーツジャーナリスト、女優、ラジオパーソナリティー、司会者、エッセイスト、フォトグラファーとして活動中。