漆芸、木工の伝統をじっくり鑑賞できる「生誕120年 人間国宝 黒田辰秋―木と漆と螺鈿(らでん)の旅―」(文化庁)が12月17日(火)~2025年3月2日(日)まで、京都国立近代美術館で開催される。京都を拠点に活躍した木漆工芸家の代表作を通じて、日本工芸史に確かな足跡を残した作家の生涯と造形思考を紹介する回顧展。
京都生まれの黒田辰秋は、1970年に木工芸の技術で初めての重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。当時一般的だった分業制に疑問を持ち、図案制作、素地作りから加飾までを一貫して自身で行うもので、実用性と装飾性、素材の特性を一体化させ、生命感にあふれた独自の創作世界を切り開いた。古典に根差したその活動は、民芸運動と関連づけて語られることも多い。
1972 年に白洲正子が音頭を取って編集した黒田初の作品集『黒田辰秋 人と作品』には、最初期からの代表作が一堂に集められており、展覧会ではその掲載作品84点のうち49点を紹介する。
開館時間は10時~18時(金曜日は20時まで開館、入館は閉館の30分前まで)。休館日は月曜日(1月13日・2月24日は開館)、1月14日・2月25日・年末年始(12月29日~1月3日)。観覧料は一般1200円、大学生500円。高校生以下・18歳未満、心身に障がいのある人(付添者1人を含む)、ひとり親家庭の世帯員は無料(入館時に証明できるものを提示)。