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【映画コラム】“異色裁判”映画『恋愛裁判』『MERCY マーシー AI裁判』

『恋愛裁判』(1月23日公開)

(C)2025「恋愛裁判」製作委員会

 人気上昇中のアイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」でセンターを務める山岡真衣(齊藤京子)は、中学時代の同級生・間山敬(倉悠貴)と偶然再会し、恋に落ちる。アイドルとしての立場と恋愛との間で葛藤する真衣だったが、ある事件をきっかけに衝動的に敬のもとへ身を寄せる。

 8カ月後、真衣は所属事務所から「恋愛禁止条項」の契約違反者として裁判所に召喚されることになる。裁判では、事務所社長の吉田光一(津田健次郎)とチーフマネジャーの矢吹早耶(唐田えりか)が真衣と対峙(たいじ)するが…。

 『淵に立つ』(16)『本気のしるし』(20)『LOVE LIFE』(22)の深田晃司監督が「元アイドルの女性に賠償命令」という新聞記事に着想を得て、構想から10年をかけて完成させたオリジナル作品で、アイドルグループ「日向坂46」元メンバーの齊藤京子が主演。第78回カンヌ国際映画祭のプレミア部門に正式出品された。

 ルールを破ったとして裁判にかけられる女性アイドルの姿を通して、日本独自に発展したアイドル文化と、その中で暗黙の了解とされてきた、アイドルの恋愛禁止問題について描いた社会派ドラマ。

 とはいえ、タイトルとなった裁判の様子よりも、むしろアイドル活動の裏側や彼女たちの動静や心情を描くことの方に時間を割いているので、一種のバックステージや芸談ものとして捉えることもできるし、真衣たちが歌で表現するのとは対照的に、恋人の敬を無言の芸を披露するパントマイマーとしたところもメリハリになっている。何より実際のアイドルが演じることでリアリティーが増した。

 ただ、真衣の選択や行動が、アイドル全体の代弁者としてではなく、あくまでも自身の行動の正当化や自己満足でしかないように見えるところがあったのは否めない。

 それ故、契約と人権の境界線はどこにあるのか、若者の恋愛を大人の事情やファンの期待のために禁じることは罪ではないのかといった問題提起がいささかぼやけてしまった感があったのは残念だった。