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唐田えりか「宝物のような作品になりました」人生を諦めた女性の再生の物語に主演『朝がくるとむなしくなる』【インタビュー】

 12月1日から公開となる『朝がくるとむなしくなる』は、人生を諦めている若い女性が、元同級生との偶然の再会をきっかけに、自分らしさを取り戻していく姿を優しいまなざしで見つめた物語だ。仕事がうまくいかずに会社を辞め、コンビニでアルバイトしながら単調な生活を送る主人公・飯塚希を演じるのは、今年、『死体の人』、『無情の世界』と出演作の公開が続き、来年には話題作「極悪女王」の配信も控える唐田えりか。「北欧こじらせ日記」(22)、「僕らの食卓」(23)など話題のテレビドラマを手掛ける気鋭の女性監督・石橋夕帆が希役を唐田に当て書きし、自身も「宝物のような作品」と語る本作の舞台裏を聞いた。

唐田えりか(C)エンタメOVO

-孤独な主人公の希を優しく包み込むような物語に心が温かくなりました。希役には唐田さんを想定して石橋監督が脚本を当て書きしたそうですが、オファーを受けて脚本を読んだときの印象はいかがでしたか。

 石橋監督と最初にお会いした時は、特に深い話をするわけではなく、「私は韓国ドラマが好きで、最近こういう作品を見ました」とか、石橋監督からは「アニメが好きで」みたいなことを友だち同士のようにフランクに話す感じでした。その上で、当て書きした脚本を書いてくださったので、読んでみたら、希の普段のテンション感や仕草はすごく自分に近い感じで。物語も、特に大きな出来事があるわけではないんですけど、日常をすごく丁寧に優しく描いた作品だな…と。

-演じるに当たって、希をどんな人物だと捉えましたか。

 希は、自分の感情にふたをしている感じなんです。例えば普段、生活している中で、「ちょっと嫌だな」と思うことや「悔しさ」「怒り」「うれしさ」という感覚を自分の中で閉ざし、気付かないふりをして、一歩引いているような。自分の感情に自信がないというか。

-そんなふうに感情を表に出さない人物を演じるのは難しそうですが、演じる上で心掛けたことは?

 私自身、話をするときは相手の目をちゃんと見るようにしていますが、人同士って、目を見るだけで伝わるものがあると思うんです。でも、希はそれを自分から少しシャットダウンしてしまっている。だから今思えば、目に入るものをちょっと減らして、情報をカットする、みたいな感じを意識していたような気がします。

-疎遠だった元同級生・大友加奈子(芋生悠)との偶然の再会が、単調な希の生活に変化をもたらしますが、再会した当初、ちゃんと加奈子の目を見ることができない希の姿もリアルでした。

 ありがとうございます。ただ、私と芋生さんはプライベートでも仲がよかったので、再会のシーンは最初、普段の私たちの親しさが出てしまったらしく、石橋監督から「もう少し抑えて」と言われてしまいました(苦笑)。

『朝がくるとむなしくなる』配給︓イーチタイム ©Ippo