エンタメ

植村花菜、コロナ禍で考えた“生きる”意味 「死ぬまでずっと学び続けて、成長し続けて暮らしたい」【インタビュー】

-ところで、この作品は「生きる」ことを描いた物語ですが、植村さんにとって「生きる」こととは?

 これはコロナ禍でずっと考えていたことですが、「命があるっていうことだけでありがたい、生きているっていうことだけでありがたいことなんだ」と思います。人間は欲深いので、「あれも欲しい、これも欲しい」と次々と欲が出てくるのですが、コロナによってそうしたものがそぎ落とされて、“今”を生きることが大事になんだと、改めて気付かされたように思います。

 私の個人的な思いでいえば、「生きる」とは、成長することです。死ぬまでずっと学び続けて、成長し続けて暮らしたいと思っています。80歳になっても90歳になっても、どれだけおばあちゃんになっても、ずっと成長し続けて、進化を止めない。それが「生きる」ということではないかなと思っています。

-コロナ禍でエンターテインメント界全体が厳しい状況ですが、その中でも“今を生きる”“進化を止めない”という前向きな考え方はすてきですね。

 どうすればこの状況を楽しいものに変えられるかということを考えるのが得意なんですよ(笑)。コロナ禍でなかなかステージに立つのも難しい状況でしたし、ニューヨークに帰ることができない日々もありましたし、どうしたらいいんだろうと思うときもありましたが、逆にこの状況下の今しかできないことはなんだろうと考えたんです。不安なことを挙げても切りがないし、考えたところでコロナが終息するわけでもない。なので、そんなことを考えているだけ時間がもったいないじゃないですか。全てが八方ふさがりのような状況で、どうすれば楽しいことを見いだせるのか。同じ考えに固執していると見えてこないものも、いろいろな視点から見れば、絶対に新たな道があるんです。なので、それを見つけようと私は思っていますし、毎日楽しく、平和に、幸せに生きたいんです。

-その「楽しく生きる」という考え方が、今回のように、初めての挑戦をいとわないところにつながっているのかなと感じました。

 そうですね。常に挑戦していたいです。やったことがないことをやりたいし、とにかく成長したい。そのマインドは、私がいうのもおこがましいですが、本作の原作を書かれた坪倉さんと似ているところがあるのかなと思いました。坪倉さんは、私が想像もできないほどの苦労や苦悩があったと思いますが、それでも常にチャレンジされてきた。そんな素晴らしい方が書かれた本がミュージカルとなり、その音楽を担当させていただけるのは本当にありがたいですし、うれしいです。きっと希望をもらえる作品になると思いますし、普段は忘れがちな大切なことを改めて考えるきっかけになると思っています。

(取材・文/嶋田真己)

新作ミュージカル「COLOR」

 新作ミュージカル「COLOR」は、9月5日~25日に、都内・新国立劇場 小劇場で上演。
公式サイト https://horipro-stage.jp/stage/color2022/