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高橋和也「出会うべくして出会った映画」自分自身の感情と重なり、人生を振り返る好機に『追想ジャーニー』【インタビュー】

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-高橋さんも最近、かつて活動していたロックバンド「男闘呼組」の再結成が大きな話題になりましたが、心情的に重なる部分もあるのでしょうか。

 この謎の男の気持ちが分かるのは、僕自身の男闘呼組の挫折に重なるからかもしれません。僕自身も18歳の頃は、文也と同じように「絶対にスターになってやる」、「自分の人生はばら色だ」と信じていたけど、24歳で活動休止になりました。そこから、それぞれの道を歩み出して29年後、こうして再び集まることができた。だから、会わなかったその29年間が大切だったんです。それがメンバーの一人一人を磨いたし、その間に挫折やいろんなことを味わったからこそ、本当に意味のある再結成になった。あのままとんとん拍子でいっていたら、こんなに素晴らしい経験は絶対にできなかったはずです。

-男闘呼組の再結成に加え、先ほど「この作品が人生を振り返るきっかけになった」という話もありましたが、50歳を超えた今、そういう人生の節目を迎えているのでしょうか。

 そうでしょうね。それと、今この作品と出会えたことも、そういう巡り合わせの一つですよね。作品との出会い、監督やキャストとの出会い、役との出会いもご縁ですから。別に、僕じゃない可能性だってあり得たわけですよ。謎の男を違う人が演じていたかもしれない。でも、僕が演じることになった。それはやっぱり、何かが僕に演じさせたんだと思うんです。

-というと?

 もちろん、監督やキャスティングプロデューサーが僕を選んでくださったからですけど、なぜ僕が選ばれたのかといえば、この役を演じる運とか縁みたいなものがあったからだと思うんです。その結果、僕もすごくいい経験ができたし、映画もすごく面白くなった。だから、やっぱり出会うべくして出会った映画だなと。

-高橋さんと同じ時代を歩んできた方たちをはじめ、人生を重ねた人たちには、とても共感できる作品だと思います。

 僕の同年代も含め、人生を振り返るような世代の方には、きっと響く物語だと思います。映画初主演の藤原くんも素晴らしいお芝居をしているので、若い方も含め、ぜひ皆さんに劇場でご覧いただきたいです。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)「追想ジャーニー」製作委員会