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森山直太朗、「なぜ人間は歌を奏でるのか。人間の根源的なものに迫る旅になった」 ニュージーランドの先住民マオリとの出会いで得た“新たな気付き”【インタビュー】

(C)ドラマ「地球の歩き方」製作委員会

-今回の旅の中で1番印象に残っている出来事を教えてください。

 ノマド生活をしているニュージーランドの若い世代の皆さんとお会いしたことです。成人して社会に出ると何か職に就いたり、社会にコミットして生きていかなければいけないという常識や教育がありますが、彼らは自分の中に社会や世界があって、その中で自分が心地いいと思える人生を選んでいるんです。

 例えば、キャンピングカーでパートナーと一緒に生活しながら、手作りのアクセサリーを売って暮らしている女性に出会いました。彼女のような生き方は、社会的には老後や将来のことを考えたりすると不安もあると思いますが、人生をより自分らしく生きていくためのただならぬ覚悟と、瞳の奥にそれ以上の対価や本質的な豊かさを得ているんだなと思える輝きを感じました。

-今回の旅で、さまざまな出会いを経験された森山さんですが、何か気付きを得たり、新たな発見はありましたか。 

 僕が音楽をやっているように、人間というものは何かを作ったり、書いたり、何か表現をしてしまう生き物で、それは自己実現や自分のアイデンティティーを証明するためとか、いろいろな理由があるけれど、もっとその表現や創造の根源にあるものは「祈り」とか「感謝」であって。ただ自然の関係の中で何か生き物に感謝するという、とても根源的なエネルギーが人間の中にはあって、そういう野性的で普遍的な感覚は実は当たり前のように僕らの中にあったのに、いつからか手放してしまったものだと思うんです。そういう五感を超えた感覚というのは、それぞれに宿っているものなんだなと感じました。

 それからクオリティー・オブ・ライフというのは、人間が生きていく中で本当に大切な感覚なんだなと感じました。教育の一環として月曜日の1時間目にそういう授業があってもいいんじゃないかなと思うくらい、人生にとって本当に豊かなものは、それぞれの中にあるものだから、それを見つけていくことが大事だなと思いました。

-今後の音楽制作にも、すてきな影響がありそうですね。

 そうですね。影響がなきゃおかしいですし、この旅で得られた感覚を忘れたくないなと思います。

-劇中では歌唱シーンやスペシャルな演出もあるとのことですが、放送を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。

 この旅でマオリの皆さんとの出会いや若者たちとの交流など、本当にさまざま出会いと別れがありました。僕という1人のおじさんが知らない異国の地に旅に出ると、こんなにもこびへつらい、あたふたするんだという(笑)、その姿も1つの見どころだと思います。あとは、道中で自分なりの気付きがあって、旅の最後には、この出会いを通じて感じた景色を音楽で表現しているので楽しみにしていただきたいです。

 真夜中ドラマ 「地球の歩き方」は、テレビ大阪 : 毎週土曜深夜 24:55~25:25、BSテレ東(BS7ch)/BSテレ東4K(4K7ch) : 毎週土曜深夜 24:00~24:30放送中。

 (取材・文/小宮山あきの)

(C)ドラマ「地球の歩き方」製作委員会