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「感情たちが活躍して自分の力で乗り越えるところが面白い」「誰もが一度は歩んできた道を表現しているのがすごい」『インサイド・ヘッド2』大竹しのぶ、多部未華子【インタビュー】

-今回は主人公ライリーの思春期における複雑な感情が描かれていましたが、どう感じましたか。

大竹 やっぱり感情が増えた分、複雑になってきているということと、友人関係がうまくいかなくなったことも含めて、家族愛で乗り越えるだけではなく、感情たちが活躍して、つまり自分の力で乗り越えるところが面白い。「大きくなるとヨロコビが少なくなる」というせりふなど、グサっとくるものがたくさんあって、やっぱり大人になっていく過程でこうした感情というのは誰にでもあるわけだし。本当によくできているストーリーだなぁ。

多部 学校生活で、ライリーが先輩たちの前でかっこをつけてみたり、ちょっと気取ってみたりするのはすごくよく分かるなって。本当にいろんな感情が入り交じっていて、共感できることばかりで、誰もが一度は歩んできた道を表現しているのがすごいなと思いました。

-今回それぞれが演じたキャラクターについてどう思ったのかということと、完成作を見た印象を。

大竹 カナシミはライリーがつらい思いをしたり、苦しい思いをしていると、悲しくて涙が出てきちゃうから、やっぱりカナシミはライリーが幸せになるために存在するんだということが分かって、カナシミも絶対に必要なんだなと思いました。出来上がった作品については、前作も好きでしたけど、今回の方がもっと深くなっている感じがして、もっともっと好きになりました。

多部 初めに、「シンパイは1人で突っ走って、引っかき回す。皆と協力し合うという感情ではないので、共感しながら声を入れることが難しいかもしれない」と言われました。確かに、シンパイは悪者っぽく見えた方がいいのかなと思う半面、やっぱりそれはライリーのことを思って、愛があるから心配して先回りして守ろうとするという面もあるので、そこがすごく難しかったです。でも、見れば見るほど愛くるしくなってくるというか…。

大竹 シンパイ、頑張り過ぎだよね。

-この作品のキャラクターの中で、カナシミとシンパイ以外で気になるキャラクターはいましたか。

大竹 どれもが必要な感じはしますが、イカリが結構好きですね。怒りがあって変化が起きるみたいな。そういう考えに行けばいいなというのもありますし。「ダリィ」って言うのはすごく分かります。「ダリィ」って言ってソファーに寝転がるのはすごく幸せな時間なんで…(笑)。

多部 ムカムカも必要ですよね。「どういうこと」とか「何言っているの」みたいな。1回自分の中で反発してみてみると、そこから理解して、冷静になって、またさらにいろんな感情が芽生え始める。

-ピクサーのアニメーション作品の中で特にお気に入りの作品があれば。

多部 私は『モンスターズ・インク』(01)です。子どもがいるので、今ディズニーとかピクサーとか、毎日のように何かしら見ています。

大竹 『リメンバー・ミー』(17)も面白かった。『ファインディング・ニモ』(03)もすごいけど、やっぱり『トイ・ストーリー』(95)かな。でも『リメンバー・ミー』かな(笑)。一つには決められませんね。

-人によって感情たちのリーダーが違っていることが作品の中でも描かれていますが、ご自身の中ではどの感情がリーダーですか。

大竹 やっぱりヨロコビですね。喜びに向かっていきたいっていう。

多部 私もヨロコビでありたいと思いつつ、シンパイかもしれない。何かいろいろと先回りをして結構考える。「どういうことなんだろう」「これってどういうつもりで言ったの」なんて心配しちゃうことも多いので(笑)。

(取材・文・写真/田中雄二)

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