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紅ゆずるの“ゼロ地点”は「宝塚歌劇団の公演を初めてテレビで見た日」【インタビュー】

-ネヴィルと現在の妻のケイ、そして元妻のオードリーが1カ所に集うという状況もまた複雑ですね。

 物語の始めはネヴィルとケイとオードリーという三角関係があり、その女性の間で揺れ動く男性のよくある話かなと思ったのですが、進んでいくと全く違う。最初は犯人だと思うような人物も出てこないですし、まるでミステリーとは思えないようなストーリーです。ですが、いつの間にか殺人事件が起きる。ただ、最初の場面から伏線がたくさんあるので、ぜひ見逃さずにご覧いただけたらと思います。

-共演者の皆さんの印象も聞かせてください。

 原くんは、あーちゃん(綺咲愛里)と今、共演していると聞いて、勝手に親近感を感じています(笑)。気さくにフランクに話せて、とても面白い方という印象です。一色洋平さんともお話をさせていただきましたが、すごく気が遣えて優しい方。今回、絡むシーンが多いので、どんなお芝居になるのか楽しみにしています。

ケイ役は鳳翔大さんが務めます。

 宝塚時代の同期ですので、とても心強いです。ケイは、オードリーに挑みかかるような役なので、きっと同期や上級生にしかできない役だと思います(笑)。なので、鳳翔だと聞いて、これだけ気心がしれていれば安心だと思いました。彼女と会うのは久しぶりでしたが、昔と全く変わらなくて。華やかで大胆なお芝居をする人なので、すごく合う役だと思います。彼女と一緒にお芝居できるのもうれしいです。

-「ゼロ時間」つまり、スタート地点というタイトルにちなんで、紅さんにとっての「スタート地点」を教えてください。

 私のスタート地点は、おそらく、宝塚歌劇団の公演を初めてテレビで見た日だと思います。その日は土曜日で、ランドセルを背負って家に帰ってテレビをつけたら、すごく華やかなステージがやっていて。それが宝塚だったんです。ランドセルを下ろすことも忘れて見入ったっていうのが、私の人生の大きな運命のゼロ地点だったのだと思います。そのテレビを見て、私はこれしかないと思いました。絶対に入ると。

-そこから音楽学校に向けてスタートしたのですね。今、紅さんにとって宝塚とはどんな存在ですか。

 私の基盤を作ってくれた場所かなと思います。基盤を作ってくれた場所で、紅ゆずるができた場所。

-なるほど。スタートという意味では、退団した時もまた新たなスタートだったのでは?

 その時は、スタートとは思いませんでした。もう全てが終わった気がして。この後、何がやりたいのかも分からなくなっていましたから。

-そうすると、その後、俳優としてやっていこうと考えるようになったのは、どんなきっかけがあったのですか。

 きっかけというのは特になかったように思います。退団した4日目には仕事をしていましたし、その1カ月後に事務所にも入りましたが、自分の中ではまだ気持ちが定まっていなかったので、何をやりたいのかも分からずにいました。ただ、やるからには応援してくださるファンの方のためにも、もちろん自分自身のためにも、本腰を入れて取り組んでいきます。

-これから先については、今はどのように考えていますか。

 何になりたいというよりは、紅ゆずるにしかできないものがあるのではないかなと思っています。お芝居は好きなのでやっていきたいですが、自分が何をやりたいのかを探していきたいですね。

-改めて公演に向けての意気込みを。

 この役になりきるための要素を1つでも多く見つけて、自分の中に入れたいと思っています。そして、舞台に立つ時には、紅ゆずるではなく、オードリーとして立っているのが目標です。ミステリーですが、ただのミステリーではないので、それもまた楽しみに来ていただけたらなと思います。

(取材・文・写真/嶋田真己)

ノサカラボ「ゼロ時間へ」

 ノサカラボ「ゼロ時間へ」は、10月3日~9日に都内・三越劇場、10月13日・14日に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで上演。