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平野綾「毎日、生きるのが楽しくなる」 ハラスメント社長に反撃する姿を描いた痛快ミュージカル「9 to 5」【インタビュー】

-平野さんが演じるドラリーというキャラクターは、どのようにとらえて演じていますか。

 ドラリーはその見た目とは真逆で、仕事にとても真面目に取り組んでいて、とても努力家です。これまでいわれのないことで疑われたり、同じ職場の人から変な噂を立てられて誤解されたりすることが多かったのですが、彼女自身はそれをすごく気にしているというわけでもなく、受け止めてしまえるくらい器が大きい人です。自分のことをみんなに知ってほしいのではなく、私は私だからといって生きていける強さを持っています。3人がチームを組んだことで、ようやく心から信頼できる友達や仲間ができますが、それでも彼女は自分のスタンスを変えません。ですが、仲間ができたことによって、強さは増したのかなと思います。それまでは一人で戦っていましたが、仲間と一緒に戦えることで、安心して立ち向かえるようになった。そこがすごく彼女らしい部分で私はとてもいとしいなと演じていて思います。

ところで、平野さんは声優やアーティストなど、幅広く活躍されていますが、舞台に出演することにはどのような思いがあるのですか。

 私は、元々ミュージカルがやりたいという思いから業界に入ったんです。10歳のときに児童劇団に入って、そこから芸歴がスタートしているので、ようやく今、舞台を軸に活動できているなと感じ、人生で1番楽しい時間を過ごさせてもらっていると思っています。もちろん、声優のお仕事も歌のお仕事もとっても大切です。今の私がここにいさせてもらえるのは、それらの経験があったからこそですし、大切さの度合いという意味ではどのお仕事も同じです。それぞれ大好きで、それぞれ大切な現場です。

-仕事をしていく上で、変わらない信念や自分の中で軸としている思いは?

 「自分以外の人になりたい。自分以外の人の人生を歩みたい」と子どもの頃に思ってお芝居を始めたので、とにかくいろいろな役を演じたいと思っています。昔はコンプレックスが強かったので、自分ではない誰かになれるということが救いでもありました。だからこそ、演じているときに平野綾だと気付かれたくないというところがあります。今、幅広い役を演じさせていただいていますが、見終わるまで「あれ、平野綾だったの?」と気付かれないお芝居がしたいと思っています。

-今後の夢や目標は?

 どのジャンルから私を知っていただいたかによって、皆さん、持たれているイメージが違うと思います。なので、それがいつの日か一つにまとまって、「平野は平野だからいいよね」と言い合っていただけるような機会があったらうれしいです。そのためには、自分の活動の幅をさらに広げていかなくてはと思うので、年齢などにとらわれずに、自分が思った通りに突き進んで、できるだけ多くの皆さんに知っていただいて、「面白いな」とか「この人を見ていたら毎日を楽しく生きられるヒントもらえた」と思っていただけるような役者になりたいです。

(取材・文・写真/嶋田真己)

 ミュージカル「9 to 5」は、10月6日~21日に都内・日本青年館ホールほか、大阪、福岡、静岡で上演。

ミュージカル「9 to 5」