山中でのかくれんぼ中に、弟が行方不明になった過去を持つ兒玉敬太(杉田雷麟)。ある日、彼のもとに母から弟がいなくなった瞬間が映った古いビデオテープが届く。霊感を持つ同居人の司(平井亜門)はそのテープにまがまがしさを感じて深入りしないよう助言するが、敬太は忌まわしい過去と向き合うべく、失踪事件を追う新聞記者の美琴(森田想)を帯同して山に向かう。「第2回日本ホラー映画大賞」で大賞を受賞した近藤亮太監督の商業映画監督デビュー作となる新次元ホラー映画『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』が、1月24日から全国公開される。本作に出演した杉田雷麟、平井亜門、森田想に話を聞いた。
-まず、最初に脚本を読んだ印象からお願いします。
杉田 最初に読んだ時は単純に面白いと思いました。でも何度か読み返していくうちに、旅館で話しているシーンとかを想像したらどんどん気味が悪くなってきて、せりふを覚えるのにそれが邪魔になるみたいな感じになってきました。怖いというよりも不気味な感じがして、嫌な後味を残すような脚本だと思いました。
平井 僕も脚本を読んで面白いなとは思ったんですけど怒りを覚えました。敬太も司もいい子なのに、弟を捜しに行ってこんな目にあうのはひどいんじゃないかと。舞台になった山に怒りを覚えました。
森田 台本の表紙のデザインが怖くて、読みたい気持ちは山々なんですけど、呪われそうな感じがしてあまり手にしませんでした。でもすごく面白かったし、情景が想像しやすい丁寧な書き方だったので、とても読み応えがありました。これをどういうふうに撮るんだろうと思いました。
-では、実際に演じてみてどう思いましたか。
杉田 特に役作りみたいなことはしませんでしたが、脚本を読んだ時に後半の敬太は何かに取りつかれているのか、あるいは自分の意思で行動しているのかを考えました。僕は幽霊を見たことがないので、その時の芝居は全部想像なのですが、その方向で合っているのかを(近藤亮太)監督と相談しながらやっていました。
平井 敬太と司はちょっと不思議な関係で、友達という感じでもないのだけれど同居している。それで現場に入って雷麟くんと会って、すごく静かな対応をする方だなと思ったこともあるのですが、司の方がこの関係性に対してある程度前のめりの気持ちがあるのかなと思いながら撮影をしていました。2人はどんな関係なんだというのは、もちろん監督に聞かないと分からないのですが。
森田 私の役は、違う事件を追っているところから物語に入っていくので、2人の邪魔をしない程度にできればいいなと思っていました。後半で、美琴も山や廃墟に付いていくことになりますが、何でいるんだろうとは見えないように、図々しく私も行きますと。逆にそれは、2人が美琴をあまり信じていないぐらいの気持ちでいたのかもしれない。美琴はあくまで第三者なのかなと思いました。
-撮影はずっと同じ場所で行ったのですか。
杉田 結構ばらばらな場所で撮影をしています。今回はスモークやCGも使っていないので現場でスタッフさんは”はちとり煙幕”を付けて走り回っていました。本当に感謝しかないです。撮影自体は楽しかったのですが、やっぱりあの廃墟は不気味でした。本物の病院の跡を使っているので、やばいなって思いながらやっていました。1人にならないように気を付けていました。
-近藤亮太監督は監督デビュー作でしたが、演出はいかがでしたか。
杉田 すごく丁寧な方でした。最初の顔合わせの時から『ラブレス』(17)や『テイク・シェルター』(11)といった参考にしている映画を教えてもらったり、監督から「怖い話をしてください」と言われて、お互いにそういう話を言い合うみたいなこともありました。結構話しやすくて、やりやすい方でした(笑)。