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中村雅俊「ちょっと同窓会に顔を出すようなつもりで今の3人の姿も見てほしいなと思います」『五十年目の俺たちの旅』【インタビュー】

-久しぶりの3人の共演でしたが、今回もオメダの行動が相変わらずでした。

 「俺たちの旅」って、基本はトラブルメーカーであるオメダが問題を起こして、カースケたちのリアクションを通して友情が見えたりするものだったので、今回もオメダしかいないというか。でも今回はオメダもすごくいいことを言っていますよ。それ以上にいいことを言っているのはグズ六なんですけど。でも、こいつらは相変わらず常識外れのことを勝手に正当化しているというのが「俺たちの旅」っぽいところです。普通に考えたらオメダのやっていることはおかしいですよ。大人のやることじゃない。毎回そうです。でも、それにカースケたちも最終的には賛同して。オメダは奥さんや娘に突き放されるけど、それでもよしとしてやっていくみたいな。ずっとそういう感じなんですよね。それが一つのパターンなんだけど、見ている人は「そうなんだ、しょうがないんだよこいつは」みたいな感じで見てくれたらいいかなと。

-このシリーズはある意味中村さんの俳優人生を象徴する作品だと思いますが、いかがでしょうか。

 やっぱりこの年になると、やたらと感謝の言葉を口にしがちなんですけど、「俺たちの旅」は50年前も出会いに感謝だと思っていました。俺は大学生からいきなりデビューしたもので、どこかで学生気分が抜けなかったんですけど、この作品と出会って、それでは許されないだろうと気付かされました。この作品から、100パーセント役者で、100パーセント歌手でやっていくという意識がはっきりと生まれて、そういうふうに生きていこうと決めました。

-中村さんの中でも非常に大きな作品ということですね。

 これを1年間やっている時はすごく楽しかったんです。スタッフと年齢も近く、緊張する人もいない。ほとんど毎日みんなでお酒を飲んで、撮影現場に行くのがただただ楽しかったんですけど、まさかこれが後々青春ドラマの金字塔みたいな言われ方をするとは思わなかったです。そういう意味で、すごい作品に出会って作り上げてきたみたいな意識は後から生まれました。今回も、ターゲットは60過ぎくらいの人たちかなと思ったけど、コンサートをやったりすると意外に若い人も来てくれたりして。だから「俺たちの旅」って、ただのファッションじゃなくて、例えば、人が人を愛することや生きることの意味とか、友情や親子関係とか、そういう変わらないものの意味を、一つのパターンとして、サンプルとして皆さんに提供したので、それに共感される部分もあるんじゃないかなと思います。

-最後に中村さんが歌う「ただお前がいい」が流れてきて、そこに“今回の一言”が重なりますよね。あれが心に残ります。

 そうですよね。最初は落ちこぼれの大学生のドラマは当たらないという話があったので、どういう話にしたらいいのかと試行錯誤をしました。その苦肉の策として、今回はこういう話だったというサポートとしてあの一言を出したら、エンディングの歌とともにすごく効果的で。そうすると、見ている人も今回はこういう感じでという一つの結論みたいなのを与えてもらった感じになる。そういう見方をしてくれる人が結構いたんじゃないですかね。

-小椋佳さんが作詞・作曲した「俺たちの旅」と「ただお前がいい」も中村さんの代表曲の一つになりましたね。

 とにかく「俺たちの旅」に関しては全てがうまくはまったんです。キャスティングもこの3人じゃないと駄目だったんです。他の役者さんがやったら全然違っていただろうというのはあります。あとは歌ですね。イントロが流れただけで、おーという感じになりますから。もう小椋佳さんには感謝しかありません。そういうファクターがうまく絡まった作品が、50年たってもエバーグリーンでいる理由なのかなという感じです。

-改めて観客や読者に向けて一言お願いします。

 「俺たちの旅」を50年前に見た当時の若者たち、そして演じた俺たちも若かったんだけど、50年たった今の3人の姿も見てほしいなと思います。同時に、ちょっと同窓会に顔を出すようなつもりで、50年前の俺たちを回想シーンという形で見てもらって、「そうそう」ってうなずいたりして、それがフィードバックして、当時の自分にも再会するみたいなことをしてくれればいいんじゃないかなと思います。

(取材・文・写真/田中雄二)

 (C)「五十年目の俺たちの旅」製作委員会