社会

Web3.0時代のキーワードは「個人」と「信用」だ! 「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2022」でトークセッション

「イノフェス」ph1 赤澤直樹氏(左)と竹下隆一郎氏。 Photo By アンザイミキ
赤澤直樹氏(左)と竹下隆一郎氏。 Photo By アンザイミキ

 「時代は 現在Web3.0に入ってきた。キーワードとなるのは『個人』と『信用』だ」。
 Web3.0の未来を支援者でなく貢献者として共創していく専門家集団「Fracton Ventures」(東京)共同創業者の赤澤直樹(あかざわ・なおき)氏。このほど東京・六本木ヒルズで行われた「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2022」(イノフェス)での発言だ。

 日本最大級のテクノロジーと音楽の祭典イノフェスで「世界が注目するWeb3とは何か~30分でWeb3を理解する入門編~」と題されたトークセッションが行われた。司会をサッシャが務め、赤澤氏に加えて、映像を中心としたビジネスメディア「ピボット」(東京)のチーフ・グローバルエディターの竹下隆一郎(たけした・りゅういちろう)氏が参加した。

 インターネットで世界がつながり、もっと大きなことができるのではと期待されてきたが、Web3が一番違うのは「トークン(token)」ができるということだ、と赤澤氏はいう。

 「トークン」とはもともと証拠、代用、貨幣などの意味を持つ英単語。「暗号資産」や「仮想通貨」とも同義語である。ブロックチェーン(データを整理する技術)上で発行され、その所有者が何らかの権利を持っていることを証明するものという意味も。赤澤氏はいう。「人と人をつないでいく。新しい人と人とのcoordination。それがweb3の一番の破壊力です」

 赤澤氏はこうも語る。「web3のスタートアップは、運営の母体が法人からDAO(自動分散型組織)ベースのコミュニティーに移管していく。個人に回帰していくということで、社会にインパクトを与えます。課題としては、何かトラブルがあった時、個人に帰着するので、誰も助けてくれない。今あるレギュレーションとのハレーションをどうするのか」

 個人の負担が大きくなり、個人にとってもきつい時代になります、と赤澤氏はいう。それに関して竹下氏は補足的に「家族の復権が起きるのではないかと思います。助け合いへの揺り戻しです。会社というのはおカネのつながりですが、それとは違うものが出てくるのではないか。信用という根拠でつながっているのが家族です」と語った。

 赤澤氏は「個人も過去のブロックチェーン(データを整理する技術)で判断されるようになる。その人が何をしてきたのか。信用をきっかけにおカネの流れが変わっていく」という。「技術というのはどこまでいっても中立的。使う人が技術に色を与えるのです。私たちがどういう社会にしたいのか、というところで技術に色がついてくるのです」

 赤澤氏によると、もともとは軍事用に開発されたインターネットが1990年代に一般に広がったのがweb1.0で、web2.0になると、読む専用からスマホの登場やネットの速度が増したことなどからFacebookやTwitterが登場し、ITが成熟し便利になった。

 現在はweb2.8からweb3.0に入ってきた最初の段階だと赤澤氏はみている。例えば「分散型金融」。赤澤氏は、lending(貸し借り)の自動化やuniswap(暗号資産の交換に利用される分散型金融プロトコル)という取引所が自動化しているようなものを挙げた。「金融は、技術的にかなり複雑なことができるようになる。ひとつのブレークスルーです」

 次に「NFT(非代替性トークン)」。それぞれのシリアルナンバーのものとストーリーが生まれて、そのストーリーを含めて交換しようという考え方、だと赤澤氏は説明する。例として、「トレーディングカード」、「HashMasks」とよばれるボトムアップでの非公開アーティストのデジタル作品の交換、アートの命名権にトークンが使われること、などを挙げた。

 「メタバース」について、赤澤氏は、空間にあるアイテム、アバター自体がそこのプラットフォームでしか使えないcloseと、別のプラットフォームでも使えるopenとがある、と説明。さらに「データ」そのものが売り買いできるマーケットができてきたと赤澤氏はいう。

 「データが価値に代わるようになってきた。だが、プライバシーを保護すると流動性を持たせることが困難になる。この2つを両立させることがブレークスルーになる」。
 竹下氏はこう言った。「web2が中央集権型ならばweb3は分散型なのです」