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アーティストの海外進出についての、メディアの捉え方に疑問アリ! SKY-HIさんが「イノフェス」で大いに語る

川田十夢さん(左)、SKY-HIさん(中央)、早川聖来さんーPhotoByアンザイミキ 
川田十夢さん(左)、SKY-HIさん(中央)、早川聖来さんーPhotoByアンザイミキ

 日本のアーティストが海外進出するにあたってのメディアの取り上げ方に疑問アリ! BMSG社長で自らもアーティストのSKY-HIさんが、このほど東京・六本木ヒルズで開かれたテクノロジーと音楽の祭典「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2022」で語った。

 「インターネットがあるなか、初めて海外でライブをした時に、“アジアで挑戦”とかメディアに書かれて、それは何か違うと思いました。だって九州にライブに行っても“九州に挑戦”とはいわないでしょ。コンテンツを見てもらえる人がいるわけで、どんどんボーダーがなくなってきている」とSKY-HIさんはいう。

 いい意味で海外に行くということにハードルを設けていないということ、なのだとSKY-HIさんは説明する。「単純に“成功”とか“失敗”とかでくくられるのはよくないと思う」。

 「AR三兄弟長男」川田十夢(かわだ・とむ)氏を進行役に、乃木坂46のメンバーである、早川聖来(はやかわ・せいら)さんも加わって、「SKY-HIと考える日本発ポップカルチャーの世界戦略」と題したトークセッションが行われた。

 「BTSの成功がぼくたちにくれた恩恵というのは、欧米の人たちがアジア人を尊重してくれる度合いが高まったこと。ボーダーがない、いい時代だと思う」とSKY-HIさん。

 アーティスト活動を考える時にSNSというツールは正しいのかどうかについて、SKY-HIさんはいう。「言語の使い方で小さな社会が出来てしまう。そこにアーティストを入れると、いいことも悪いこともある。フィジカルで関わるアーティストやスタッフの方々をもっと大切にしたい。ステージでのパフォーマンスを通して純粋な気持ちを伝えるのがいい」

 2020年、SKY-HIさんはBMSGという会社を設立し、代表取締役CEOに就任。BMSGとは「Be My Self Group」の略で、アーティストやアイドルが「自分のまま」でいれる空間をつくりたいという志で名づけられた。

 「才能が歪んだ形で消費され、救われないケースが多いということ」、「確かな才能を担保に成功を掴んだ人間が、実際に幸せに生きている可能性があまりにも高くないということ」を踏まえての船出だった。現在、社員が30人、アーティストが15人いる。

 SKY-HIさんはいう「BMSGという会社はミッションに“優しい”ということをしっかりと入れています。正直にいうと、若い世代であればあるほど、ナチュラルに(人と)距離感をとっている人いるけれど、それでも(ぼくは)近すぎるような気がする」。
 だから、「距離は少しつくるようにしている」とSKY-HIさん。

 SKY-HIさんが一番大事にしていることは「好いてもらうこと」。SKY-HIさんは「私は(会社の)トップであることに間違いないわけですが、前提として好いてもらうとついてきてもらえるけれど、マネジメント側からお願いしないといけない時もある。マネジメントとしても、アーティスト個人としても“好き”が多い人間でありたい」。

 来年3周年を迎えるBMSG。「アメリカは新しいものに早く飛びつく半面、日本は斜に構えてみるところがある。3匹目のどじょうが一番おいしく釣れると思っている。昨年クラウド・ファンディングが成功した。その前には無数の屍(しかばね)がある。そのおかげで3匹目のどじょうをつかむことができた。よい教訓です」とSKY-HIさんはいう。

SKY-HIさんーPhotoByアンザイミキ 
SKY-HIさんーPhotoByアンザイミキ

 SKY-HIさんは「自分は育成期間が長かった。30才になってから、ダンスとかを始めたぐらいで、トレーナーにいろいろと聞いたりした。あくまでも自分は天才ではなく、あとから身に着けていったタイプ」だと自己分析してみせた。

 SKY-HIさんは2005年、AAAのメンバーとしてデビュー。同時期から「SKY-HI」としてクラブなどで活動をスタートさせた。KREVAら多数のアーティストとのコラボを経て、「SOOFIN’ AWARD 2012 ベストオブラッパー部門」を受賞。

 2013年、初のライブツアーを開催。同年、「愛ブルーム/RULE」でメジャーデビューを果たす。翌年、ファースト・アルバム『TRICSTER』を発表。2017年には初の海外公演も。2018年、新旧のコラボ作品を詰め込んだベストアルバム『ベストカタリスト』を発売した。

 2020年には、タイの国民的ポップスターSTAMPをフィーチャーした「Don’t Worry Baby Be Happy」を配信開始。さらには、今年リリースされたStray Kidsのプロデューサーユニット3RACHA(スリーラチャ)とコラボした「JUST BREATHE」がiTunesのソングランキング(すべてのジャンル・ヒップホップ/ラップ)世界29か国・地域で1位、計47のランキングで首位を獲得。世界38か国・地域でトップ10入りを記録し、iTunesのワールドワイドソングランキングで3位を獲得した。