目に見えないだけに、意識しなくても香りが中枢神経系に及ぼす影響は大きい。目下、東京・上野の国立科学博物館で開催中の特別展「毒」(2月19日まで)に設置されているサイネージ用アロマディフューザーでは、未完熟マンゴーの香りがどんな香りかが分かるようになっている。博物館や科学館、企業ミュージアムなどの展示テーマやコンテンツを楽しく、分かりやすく伝えるために、香りやニオイを再現し、提供しているプロモツール(東京)の技術だ。
ディフューザーなどで感知する香りは、まだ意識をしっかり向けて香りを嗅いでいるけれど、そうでない場合もあって面白い。たとえば同社の過去の事例では、2005年の映画『チャーリーとチョコレート工場』の完成披露試写会で、「チョコレートの滝」を見学しているシーンでチョコレートの香りを漂わせた面白いプロモーションがあった。まるでジョニー・デップと一緒に工場を見学しているかのような錯覚を体感できるわけだ。
他にもサンシャイン水族館特別展「ざんねんないきもの展」でカメムシのニオイや、琵琶湖博物館で鮒(ふな)ずしのニオイ、国立科学博物館の特別展「ワイン展-ぶどうから生まれた奇跡-」でワインにちなんだ香りなど、再現した香りはさまざま。アロマのような心地良い香りに限らず、その場の雰囲気を盛り上げ、“リアル”にするのに香りは大きな役割を担っている。