カルチャー

障害当事者の得意分野を地域文化の保護に生かしたい 当事者がつくる発達障害情報マガジン

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 精神・発達障害のある人は離職率も高く、現状の社会では「生きづらさ」を抱えていることが非常に多い。京都府綾部市には、障害当事者が得意なことや関心のあることを地域特有の文化の保護に生かし、「障害者の働き方」と「文化喪失」の双方の課題解決に向けて考えようという活動がある。同市を拠点に地元の養蚕文化の保護継承と発達障害の情報発信を行う「蚕都Grants(さんとぐらんつ)」https://santogrants.studio.site/はこのほど、「当事者がつくる発達障害情報マガジン『Picky』」https://pickymagazine.studio.site/を創刊した。

 名前の由来の「Picky」は、英語で「選り好みする」「好みにうるさい」「こだわりが強い」人を表す言葉として使われている。蚕都Grantsでは、変わり者扱いされる意味を逆手にとり、むしろ「こだわる」、好きなものがないなら自分で「つくる」――と考えている。地域に根ざしたフリーペーパーとして、地元在住の精神・発達障害当事者ならではの観点で地域情報を発信。発達障害についての記事のほか、関西地域の支援機関やメンタルクリニック、障害支援に関わる関西の「発達障害カフェ」などの情報も掲載する。障害当事者自らが「社会」と「文化」について考えて積極的に関わっていくことを目指し、地元・綾部市の貴重な養蚕文化も毎号取り扱っていく。

 6月に実施したクラウドファンディングの支援金で制作。季刊誌として年4回の発行を予定している。「障害」のイメージを明るくポジティブなものにしていこうと、店舗などにも飾っておきたくなるようなシンプルでおしゃれな表紙を目指した。フリーペーパーだが紙質にこだわり、誌面も全ページカラー刷りにした。京都府内の綾部市・舞鶴市・福知山市を中心に福祉事業所やメンタルクリニック、飲食店などに配布。地元綾部市の地域紙を発行しているあやべ市民新聞社には常設される。