カルチャー

批評理論で名作を楽しむ一冊 マンガ森のさまよいかかた

 批評理論、あるいは文学理論。文学を解釈するための視点や方法を考える学問、といわれると難しい感じがするが、その入り口を気楽に通過できそうな一冊が発売された。『マンガ森の彷徨(さまよ)いかた 批評理論で名作を楽しむ』(小池陽慈著、三省堂、税込み1650円)だ。

 マンガというメディアを通じ、批評理論、文学理論の基礎についてわかりやすく平易な言葉で解説している。「言語相対論」、「テクスト」、「表象」といった難解なキーワードも、なじみやすい講義調の語り口で読み進められる。「(批評理論・文学理論の)基礎的な考え方を少し知っただけでも、文学は当然のこと、映画やアニメ、イラストやマンガ、はたまたゲームや広告だって、もっともっと深く、さまざまな角度から味わえるようになるのですね。そして、私たちの生きるこの社会、あるいは世界について、より主体的に考えるための視座を手にすることもできる」と著者。

 恐ろしく難解な世界を、著者の平易な言葉でのぞくことができるのは、ちょっと楽しそうだ。