渋谷の新たな次世代型ランドマークとして、2024年7月にまちびらきが行われた大規模複合施設「Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)」(東京都渋谷区桜丘町)。そのSAKURAサイドに11月15日、ヤマハ(浜松市)が『Yamaha Sound Crossing Shibuya』(ヤマハサウンドクロッシング渋谷、以下YSC渋谷)をオープンした。YSC渋谷は、若者に向けたヤマハのブランド発信拠点として誰でも自由に利用できるブランド体験施設「LAB(ラボ)」(SAKURAサイド3階)と、研究開発のサテライト施設「LOUNGE(ラウンジ)」(SAKURAタワー8階、一般非公開)の二つで構成される。館内にはハイスペックな楽器や音響機器などがそろい、ミュージシャンたちが集まる舘「Musician’s Share House」をイメージした空間デザインが施され、クリエイティビティや遊び心の感じられる空間を演出している。
「LAB」は、新しい音楽を生み出し、音楽を表現・発信することに関心を持つ若者や、アマチュアのミュージシャンなどに向けて、最新の楽器や音楽を紹介する体験型の施設。その中の「エクスペリエンス」エリアでは、バンドやステージパフォーマンス向けを中心とした最新楽器や音響機器、配信機器、最新テクノロジーの体験機会を提供。楽器・音楽制作について気軽に相談できるスタッフが常駐する。そのほか、配信も可能なライブエリア「ステージ」、最新技術のプレゼンテーションの場となる「スタジオ」、オリジナルコーヒーやクラフトビールなどを提供する「カフェ」を備え、新しい音楽・文化・ムーブメントを生み出す拠点となることを目指している。
一方の「LOUNGE」は、ミュージシャンやアーティスト、クリエーター、異業種企業などを招いて、リレーションを深め、ともに新しい音楽や楽器を創造していく研究開発のサテライト施設。ヤマハの研究開発者が、音楽や文化の発信地である渋谷を拠点にして、さまざまな人材と交流を持つことで新しい価値創造につなげていくのが狙いだ。
かつて渋谷・桜丘の地には、ヤマハが開設したスタジオ「エピキュラス」があり、数多くのアーティストを輩出し、新しい音楽のトレンドを生み出していった。そんな輝かしい歴史を持つ場所に誕生したYSC渋谷のコンセプトは“Sound Crossing”。そこには「偶発的なイノベーションが起こる、音・音楽を通したつながりが生まれる場所」という意味合いがある。渋谷の象徴であるスクランブル交差点のように、音と音、技術と技術、人と人、さまざまな要素が交じり合い境界を超えていき、新しい何かが生まれる場所になるという願いが込められている。一般向けの体験型スペース「LAB」と、日本の音楽シーンや文化をけん引するミュージシャンなどの利用を想定した「LOUNGE」の二つの異なる機能を持つ施設がつながって刺激し合い、新たな音楽の創造や表現が生まれる日も遠くなさそうだ。