2月17日、18日に開催された第39回コナミオープン水泳競技大会。数ある水泳の競技会の中でコナミオープンの特徴は、トップアスリートと小学生などのジュニアスイマーが同じ舞台で競うことだ。昨年までの辰巳国際水泳場から、今年は2021年の東京五輪・パラリンピックの水泳競技会場だった東京アクアティクスセンターでの開催となった今回のテーマは「ここから始まる新たな未来へ」。開催するコナミスポーツの室田健志社長と東京都水泳協会の内田孝太郎専務理事に話を聞いた。
室田 規模感や会場などの変遷はありましたが、一貫しているのはお子さまからトップまでが一堂に会して競い合うこと。その積み重ねが39回となり、感慨深いものがあります。
内田 競泳の競技会を行う場合、運営するための適正な人数が決まっています。競技会ごとに標準記録を設けて、どの大会にどのレベルの選手が出場できるか決めますので、ジュニアがトップと一緒になる機会は、実はなかなかありません。コナミオープンの後にジュニアの選手やその保護者から聞くのは、「あの選手と一緒に泳げてうれしかった」という声です。ウォーミングアップで憧れの選手が隣で泳いでいたり、ストレッチしたりしている姿を見ると、お子さまのモチベーションアップになると思います。
——ジュニアの選手の環境はどう変化していますか?
室田 水泳の競技人口は、人口の推移と相関していると思います。少子化で全国的にみると減っているところがありますが、子どもに水泳を習わせたいという保護者の意向は今も根強くあります。当社のスイミングスクールに入ってくるお子さまには、課題を克服する力を通じて成長を実感してもらいたい。そのサポートが当社の使命と思っています。
内田 ここ数年思うのは、学校授業の体育がずいぶん変化しているということ。今まで水泳は各学校にプールの施設があって、比較的身近なスポーツだったと思いますが、今は学校単位ではなく、地域でやりましょうとなりつつあります。
——プールの老朽化で、水泳の授業時は外部の民間スポーツクラブのプールに移動して、そのクラブの講師が水泳を教える地域も増えているとか。
室田 学校でプール施設を維持するにもコストや手間がかかります。教えられる先生が少なくなっているという問題もあり、スイミングスクールに学校の授業自体を委託することが増えています。当社は指導者とプールという環境がありますので、今年も数多くの学校が当社のプールに来ていただき、そこで学校の授業を行いました。今後どう事業を進めていくのか、常に意識しています。
内田 コナミスポーツさんは都内にも店舗をたくさん持っていらっしゃる。水泳の普及という、われわれの競技団体としての使命を進めるためには、コナミスポーツさんはじめ民間のスポーツクラブ、スイミングクラブとの協力が重要。学校の体育としての水泳は絶滅危惧だと思っていますので、地域のスイミングスクールがもっと活性化する取り組みを、われわれ競技団体としても情報共有しながら、一緒に歩んでいきたい。これまでもそうですが、時代にあった提供の仕方を考えていかないと難しいと思います。
——これからコナミオープンをどう発展させていきたいですか?
室田 昨年までの開催場所で“聖地”とされていた辰巳、そして今回からは五輪・パラリンピックの会場だったアクアティクスセンターのような会場で開催できることは、意義が大きいと思っています。東京都水泳協会の皆さまと連携して、しっかりした運営を続けていきたいです。
ジュニアからトップの競泳選手が一堂に会する機会は、選手たちのモチベーションになっていると捉えているので、これまで培ってきたものをベースに、より多くのお子さまに参加いただいて、トップ選手に育っていけるよう応援したい。もちろん、世界で活躍するトップアスリートの強化にとっても大切な機会になると思っています。パリ五輪・パラリンピックに向けてどの選手も頑張っていますので、こちらも最大限サポートします。
コナミスポーツはスイミングスクールとして創業し、他にも体操、ダンスのスクールなどを運営しています。さまざまな関わり方をしていますが、お子さまにトップアスリートへの憧れを持つ機会を作り成長につなげるというコアな要素を忘れずに、支援を続けていきます。