人材やノウハウ、技術など自社の経営資源を活用し、社会課題解決に取り組む企業の活動を表彰する「第20回企業フィランソロピー大賞」の贈呈式が3月3日、東京都内で開かれ、大賞1社、各賞5社の代表者に、賞を主催する公益社団法人日本フィランソロピー協会の浅野史郎会長から賞状が贈られた。
大賞は、パナソニックホールディングス(大阪府門真市)の「Panasonic NPO/NGOサポートファンド for SDGs」。「NPOやNGOの組織基盤強化に対する取り組みを通じて、市民活動の持続発展、社会課題の解決、さらに社会変革に貢献することを目的に2001年より活動を展開している。SDGs達成に向けて重要な担い手である非営利公益セクターの持続可能な成長のために、地道かつ発展的な取り組みを行ってきた」と評価された。同社の津賀一宏会長は「創業以来、本業の事業を通じて人々の暮らしの向上と社会の発展に貢献することを経営理念としてきた。今回の受賞で、本業ではない企業市民活動でも、社会へのお役立ちを果たせる可能性があるというヒントをいただけた気がする。将来は本業のお役立ちにも生きてくると改めて感じた」と喜びを語った。
日本フィランソロピー協会は1963年に設立。企業向けセミナーや出版事業などを通じ、企業や個人の社会参加意識を高め、公正で活力ある心豊かな社会の実現を目指すとしている。会員企業は134社。フィランソロピー大賞は、SDGs達成が世界的な課題となっている中、社会の課題解決のために自社の経営資源を有機的・持続的に活用した社会貢献活動を顕彰することで、公正で温もりと活力ある社会を次世代に伝えることを目的に、2003年に創設された。
第20回企業フィランソロピー賞を受賞した企業、活動と贈呈理由の要旨は次の通り。
【未来をひらくスキル賞】アクセンチュア(東京都港区)の「Skills to Succeed(スキルによる発展)」。より多くの人々に『就業や起業に関わるスキル構築の機会を提供し、経済活動への参加と貢献を可能にする』ことを目指すもの。より良い世界をつくる原動力となる取り組み。
【つなぐ被災地、語り部文化賞】阿部長商店(宮城県気仙沼市)の「KATARIBEカルチャーの創成」。阿部長商店が経営する南三陸ホテル観洋は、東日本大震災時に自ら被災しながら600人の避難者を受け入れた。いのちを守る取り組みは語り部文化として伝承され、いのちの重みを伝え続けている。
【皆で支えるコミュニティ賞】大和リース(大阪市中央区)の「商業施設が持つ新しい公益機能『コミュニティフリッジ』の設置協働」。運営する商業施設『ブランチ岡山北長瀬』内でNPO法人と協働し、シングルマザーなどの生活困窮者に食料品や日用品を提供する日本初の取り組み『コミュニティフリッジ』を展開している。
【ソーシャル×建築賞】千年建設(名古屋市熱田区)の「生活困窮者向け居住支援事業「LivEQuality(リブクオリティ)事業」。母子家庭の、特に居住貧困をターゲットに、低家賃で利便性が高く、高品質な物件を提供している。入居後も支援を継続し、自立までサポートする流れを実現した。
【こころのフィンテック賞】フィノバレー(東京都港区)の「コロナ禍で経済的に困窮する親子への食の支援プロジェクト (Table for Kids)」。全国各地で展開するデジタル通貨プラットフォームを無償提供し、寄付や助成金をもとに、NPO法人との協働で、無料デジタルクーポン『カケハシコイン』を提供。貧困問題と取り組む新たな可能性を広げている。