カルチャー

鎌倉市の小学生に郷土料理で「食育授業」 日清オイリオグループとキッコーマン

「あぶらの秘密」と題して子どもたちは日清オイリオグループ社員から食用油の特徴を学んだ

 日清オイリオグループ(東京都中央区)とキッコーマン(千葉県野田市)は9月27日、神奈川県鎌倉市の市立大船小学校で「食育特別授業」を実施した。この取り組みは、日本の食に長年携わってきた両社が「未来を生きる子どもたちの味覚を育み、伝統的な食文化を継承する」ことを目的に昨年から実施している。

 今回は大船小6年生の家庭科の授業「プロに聞いて学ぼう」として、両社の社員が「食用油」と「しょうゆ」について説明した後、鎌倉パークホテル料理人の指導による「けんちん汁」の調理実習が行われた。

家庭科実習室で行われた調理実習。鎌倉パークホテルでは毎朝「けんちん汁」を提供しているという

 

 午前中のクラスに続き、この日の午後の授業には6年2組の児童約30人が参加。初めに日清オイリオグループの荒井千恵さんが「あぶらの秘密」と題し、クイズ形式で食用油の特徴を説明した。子どもたちはクイズの問いに対し、積極的に手を挙げながら「生きるためのエネルギーになる」「他の栄養素を吸収しやすくなる」「消化に時間がかかるので食べ過ぎを防ぐ」「おいしさを演出する」といった油が持つ性質を学んだ。

調理実習で「最後にごま油を入れて風味がどう変わるか味見をしてみて」と話す日清オイリオグループの荒井千恵さん

 

けんちん汁に使う調味料。入れるタイミングも重要だ

 

 キッコーマンの山本笙太さんは、大豆や小麦などしょうゆの原料について説明し「しょうゆに含まれる香り成分は300種以上ある」と話すと子どもたちから驚きの声が上がった。山本さんは「食塩は体にとって大切な機能を持つので、取りすぎに注意して適切な量を取ることが大切」と分かりやすく解説した。

しょうゆについて説明するキッコーマンの山本笙太さん。「減塩しょうゆを上手に使い、塩分の取り過ぎにも注意しよう」

 

▽実習で味付けを学ぶ

 調理実習は、鎌倉パークホテル「日本料理 和 みなもと」の山口修一・副料理長が作り方を説明し、4、5人ずつのグループに分かれて「けんちん汁」を作った。「けんちん汁」は、鎌倉の建長寺が発祥とされ、大根やニンジン、ゴボウといった野菜を油で炒めてから煮込み、しょうゆ、みりん、ごま油で味付けをする郷土料理。

大根の切り方を実践する山口修一・副料理長。子どもたちはプロの技術を食い入るように見ていた

 

子どもたちは慎重にしょうゆやみりんを鍋に入れ、味を調えた

 

 食用油やしょうゆを使い、自分たちで調理した子どもたちはさっそく試食。山口さんは「家で作って一晩寝かせると油としょうゆがなじんで、よりおいしくなるよ」とアドバイスしていた。今後は今回の授業で学んだ内容を生かし、子どもたちがご飯に合う汁物とおかずを組み合わせ、献立を考案する「事後学習」も実施するという。

けんちん汁。修行僧がうっかり落としてしまった豆腐を洗って入れたと伝わっており、そのため豆腐は手でちぎって入れるという