数年前に読んだことのある本を再読、まったく別の感想を持つということはよくある。本は変わらないけれど、読み手の経験値や状況、考え方が変わっているからだ。大きく成長する若い世代ならなおさら。宮崎県西都市の県立妻高等学校では、3年という長期の貸出期間を設定した「18歳の図書館」を開館した。
この図書館で貸し出すのは「3年後もう一度読んでほしい本」。西都市出身のおかずクラブのオカリナさん、歌手の米良美一さんなどの著名人や市内で活躍する大人たち、総勢79人が250冊の本を選出した。ここで本を借りるには特別なルールがある。まず借り手は、3年後の自分宛てに読書感想文を送る。感想文の半分には今の気持ちを書いて、残りの半分は3年後の自分のために空欄にしておく。そして3年後、20歳のころに18歳の自分から感想文が届く。返却時には、借りた本と一緒に空欄を埋めた読書感想文を提出するのがルールだ。
最初に本を読んだ時に感じたことを数年後に知るのは面白いし、この取り組みでは、高校卒業後に自治体を離れる若者が、就職や移住などのタイミングで地元を思い出すきっかけづくりも目指している。そのきっかけが一冊の本、というのはちょっとすてきだ。
また、本と出合った様子を収めた『18歳の図書館』コンセプトムービーを「西都はじめるPROJECT」公式HPにて公開している。