慢性的な人手不足に加えて残業規制が昨年強化された物流業界。デジタルトランスフォーメーション(DX)など最新テクノロジーを活用した業務のデジタル化やロボット、人工知能(AI)を活用した作業の自動化など、人手不足を前提にしたさまざまな対策が提唱されているが、幅広い物流業務を請け負う「ロジテック」(東京都港区)の代表取締役・川村将臣さん(45)は「いろんな横文字が飛び交っているが、解決の鍵はやっぱり人材。どんなに優れたシステムを導入してもそれを適切に運用する人がいなければシステムは機能しない」と指摘する。
人手不足な物流業界の課題解決を目指してロジテックが昨年11月から始めたのが、電子商取引(EC)事業者向けの物流支援サービス「デマンドロジスティクス」。受注・倉庫管理のクラウドシステムを活用し、商品の受注、入庫、商品加工、発送、梱包(こんぽう)、配送、在庫管理など、ECに必要な作業を一気通貫で提供する新サービス。東京都内で1月22~24日開かれた先端物流サービスの展示会「第4回スマート物流EXPO」で業界関係者らにアピールした。
川村さんは「EC事業者の一切の困り事を引き受けて、トップらを“店長業務”から解放したい」とこの新サービスの狙いを説明する。
仕事柄、EC事業者の作業現場を見る機会の多い川村さんは「EC中小事業者では社長らトップや販促戦略にあたるべき幹部などのリーダーが本来、店長がやるべき物流の事務作業に忙殺されている例が散見される」と指摘。「優れた物流管理システムを導入した事業者でも、導入後のシステムを運用する人材が手当てできずにトップ自らが対処役を担ってしまっている例もある」と残念がる。
川村さんは「トップが本来力を入れるべきは、顧客の拡大や販売戦略などの事業戦略。手間がかかる物流作業を一括して支援するサービスを提供して、人材が不足気味のEC事業者を支えていきたい」と意気込む。
この新サービスを利用するEC事業者は現在、約40社。個人事業主から中堅業者まで、おむつなどの日用品から、家具(机など)、カバン、服、トレーディングカードなど多様な商品の物流サービスを提供している、という。
サービス利用料金は、少ない取り扱い数の荷物からでも利用しやすい売り上げに応じた課金システムを採用。商品を管理する倉庫は東京都心に比べ、低価格の利用が可能な千葉県習志野市の倉庫を拠点として確保するなど、比較的、低価格で提供できるサービスを目指したという。専用担当者も設け、商品のラッピングやキャンペーン戦略の提案、販促サポートなどのサービス提供も可能という。
川村さんは「ロジテックは人材会社キャムコムグループに属する企業で、運転手や倉庫作業員の人材不足にも迅速的確に対応できる自信がある。個々のEC事業者の事情に合わせて、物流に関するさまざま支援サービスを組み合わせて個別仕様で提供できる。新サービスを弊社事業の柱の一つにしたい」と意気込んでいる。