
不登校児童生徒数は年々増え続け、今や約30万人が学校へ行けない状況だという。文部科学省が令和5年10月に発表した「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、小中学校における不登校児童生徒数は29万9048人。前年度から5万4108人も増加し、過去最多となった。実に小学生の100人に約2人、中学生の100人に約6人に相当する。
恩賜財団母子愛育会 愛育研究所の所長で、約半世紀もの間、不登校の子どもや親に寄り添い支えてきた児童精神科医・齊藤万比古医師が監修を務める新刊『不登校のはじまりからおわりまで』が、日東書院から発売された。子どもが学校に行けなくなる理由や、心の病気、発達障害について児童精神科医ならではの視点で丁寧に解説。不登校の始まりから不登校を乗り越えるまでを、4つの段階に分けて俯瞰(ふかん)的に捉えることができるようにひもといている。おかべりんごさんによるイラストや図解も分かりやすい。さらに、「あまえ」にどう向き合うか、昼夜逆転生活の対処法、SNSとの付き合い方、自傷行為や家庭内暴力が起きたらどうするかといった親の悩みや、状況別の頼れる医療機関、相談先なども紹介している。
齊藤万比古医師は、「大切なのは、『不登校』について知ること、そして今の状況を冷静に受け止め、子どもに寄り添うことです」と訴える。サイズは四六判(188×128mm)で224ページ。税込み1650円。不登校はもはや、親だけではなく社会全体で取り組むべき問題といえるだろう。