「ばく大なデータに基づいた昔の地球への旅行記だ。この本があればタイムマシンはいらない」と、古生物学者の更科功氏が推薦している。地球上の生命の歴史をつぶさに解き明かした『素晴らしき別世界 地球と生命の5億年』(トーマス・ハリデイ著、山と溪谷社・東京)が刊行された。
アラスカを渡る巨大なマンモスの群れ、泥地にダイヤモンド模様の高木がそびえ立ち、翼竜が水中に獲物を見つけて湖にダイブ。海には透明で巨大なガラス建築が広がり、海底では最古の熱水噴出孔動物ヤマンカシアが生きている。最も新しい氷河期(ラムセス2世のエジプト新世界)から生命の夜明け(エディアカラン期)まで、16の時代を旅し、7つの大陸すべてを舞台に、絶滅してしまった生命と地球の姿をリアルに描き切っている。
そして最終章では、地球温暖化など今起こりつつある変化について警鐘を鳴らす。昨年イギリスで発刊され、世界13カ国で翻訳されているサイエンス書『Otherlands(原題)』の和訳。税込み2860円。