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「鎌倉殿の13人」最後まで「実直さ」を貫いた北条義時の気高い生きざま【大河ドラマコラム】

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 そして義時は、その実直さ故、最後まで自ら身を引くことができず、自分をこの因果に引き込んだ姉・政子(小池栄子)によって引導を渡されることとなった。その際の義時の思いに考えをめぐらせるに当たっては、小栗がクランクアップ後のインタビューで語った次の言葉を振り返っておきたい。

 「本当は自分も政子や泰時のような考え方をしていたのに、それができなくなってしまった。だから、自分に楯突いてくる彼らを見て、『100パーセント守りたい』、『これを屈折させるわけにはいかない』と思った。それが、義時が最後まで守り抜こうとしたものだったのかなと」

 混乱の時代が産み落としたあらゆる負の感情を吸収し、後世に残さぬよう一身に背負い、義時は旅立った。その生きざまを、私たちは恐れではなく、愛情と悲しみを持って見守ってきた。筆者はそんな義時の生きざまから、「困難だからこそ、実直に生きることは尊く、気高い」というメッセージを読み取った。

 もちろん、この物語をどう受け止めるかは、見る人それぞれの自由だ。だが、全てのキャストとスタッフが心血を注いで作り上げたこの作品が、これからも長く語り継がれていくことに異論はないはずだ。その第一歩として、まずは12月29日にNHK総合で放送される総集編で今一度、義時の生きざまを振り返ってみたい。

(井上健一)

北条政子役の小池栄子(左)と北条義時役の小栗旬 (C)NHK