おでかけ

日本三景の前に楽しむ しおがまの旅 【あなたをエスコート 幸せになる旅コラム#8】

志波彦神社は陸奥国百社の名神大社
志波彦神社は陸奥国百社の名神大社

 日本三景といえば宮城県の「松島」、京都府の「天橋立」、広島県の「安芸の宮島」。では、日本三奇はどこにあるかご存じですか?

 日本三景の一つ松島へ旅行する際には、仙台駅からJR仙石線に乗り松島海岸駅で下車するという方が多いと思います。そして、遊覧船に乗って島めぐりが基本ですよね。それはもちろん正しい観光ルートです。

 ただ私としては、松島海岸駅の手前、本塩釜駅で仙石線を降り、塩釜港から島めぐりの遊覧船で松島へ向かうルートもオススメしたいと思います。八百八島といわれる松島の島々ですが、実はその半分以上は塩竈市の行政区内にあるのです。

 そして、せっかく途中下車したのですから、塩竈市も散策しましょう。ちょっとその前に・・・、このコラムでは「しおがま」を、神社は「鹽竈」、自治体は「塩竈」、駅や港は「塩釜」と表記させていただきます。

 まずは、本塩釜駅から徒歩で十数分の距離にある鹽竈神社へ向かいましょう。表坂(表参道)からは二百二段の石段を上ることになりますが、鹽竈神社博物館の近くにある駐車場までタクシーで行けば、平たんな移動で済むのでご安心を。

 陸奥国一の宮として東北を鎮護する鹽竈神社。正確な創建時期は定かではないものの、千二百年以上の歴史があるそうです。楼門をくぐると正面に左右宮拝殿、右手に別宮拝殿があります。境内には陸奥国百社の名神大社「志波彦神社」、松尾芭蕉が奥の細道で記した「文治の燈籠」など見どころもたくさんあります。

鹽竈神社の左右宮拝殿(左)と別宮拝殿
鹽竈神社の左右宮拝殿(左)と別宮拝殿

 参拝が済んだら市街地に戻り、鹽竈神社の末社で同じ鹽土翁神をご祭神とする御釜神社へ向かいましょう。ここに日本三奇の一つがあります。兵庫県の生石神社「石の宝殿」、宮崎県の高千穂峰山頂「天之逆鉾」、そして宮城県塩竈市の御釜神社「四口の神釜」(よんくのしんかま)は、その由来や神話を含めた奇跡として「日本三奇」と呼ばれています。

鹽土翁神をご祭神とする御釜神社
鹽土翁神をご祭神とする御釜神社

 境内には神釜と呼ばれる四つの鉄製の釜が祭られています。釜の水は溢れることもなくなることもなく、変事があるときに前触れとして水の色が変化するそうです。世の中には科学では証明が難しい不思議なこと、奇跡的なことがありますね。「四口の神釜」の撮影は禁止されていますが、初穂料を納め拝観することはできます。

中には神釜と呼ばれる四つの釜がある
中には神釜と呼ばれる四つの釜がある

 御釜神社のすぐ近くには、江戸時代から鹽竈神社にお神酒を造り納めている蔵元の佐浦があります。日本酒の「浦霞」といえばお分かりの方も多いでしょう。塩竈はすしの町です。地酒を楽しみつつ、三陸沖の新鮮な魚を使ったすしを食べずして、この地を離れることはできません。

塩竈旅の楽しみは「すしめぐり」
塩竈旅の楽しみは「すしめぐり」

 すしだけではありません。食いしん坊の私としては、フレンチの「レストラン・シェヌー」もオススメしたいと思います。東北の食材を生かした感動的なお料理が次々とテーブルに運ばれてきますよ。シェヌーの予約が取れた日に、旅のスケジュールを合わせていただきたいと思うほどの名店です。

レストラン・シェヌー
レストラン・シェヌー
仙台牛ランプ肉のグリエ、ワサビのソース
仙台牛ランプ肉のグリエ、ワサビのソース

 日本三景の松島へ向かう前に、幸福度を高める塩竈の旅、いかがでしょうか。

 【旅人略歴】エスコートK・・・数十年前、旅程管理主任者の1期生として、国内外のツアーをエスコート。現在は生活情報誌の編集長だが、旅の取材だけは自らのカメラを手に、こっそりとデスクを離れ出掛けている。