「情けではない。幸せになることは、生き残った者の務めであると、わしは思うぞ」
NHKで好評放送中の大河ドラマ「どうする家康」。9月24日放送の第36回「於愛日記」で主人公・徳川家康(松本潤)が語った言葉だ。
この回、家康は、かつて武田の忍びとして数々の謀略に関わった女・千代(古川琴音)の行方を探させる。だが、その命を受けた鳥居元忠(音尾琢真)は、千代を発見しながらも、ひそかにかくまっていた。それは元忠が、忍びの過去を捨て、静かに暮らしたいと願った千代に同情し、妻にしたいと願ったためだった。それが発覚し、家康の裁きを受けることになったものの、その口から飛び出したのは、「もとよりわしは、千代を恨んでおらん」という意外な言葉だった。そして下されたのは、「忍びの過去を捨て、鳥居元忠の妻となるがよい」という寛大な処分。これを、「今さら、人並みの暮らしが許されるものでございましょうや。お情けなら無用に」と拒もうとする千代に向けて、家康が放ったのが冒頭の言葉だ。