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噺家も体力が要るのよ 【蝶花楼桃花 コラムNEWS箸休め】

 パーソナルトレーニングとやらに通いだしてから1年以上が経過した。

 落語家になってからというもの、全く運動というものをしてこなかった。しかし、健康診断で肺活量だけはアスリート並みの数値をたたき出したようで、お医者さんにビックリされたことがあったけど。

 噺(はなし)家の世界、人気者の先輩方は総じてみんな体力がある。非力を売りにしていたあの桂歌丸師匠だって、実はめちゃくちゃバイタリティーがあった。これから落語という仕事をしながら年をとっていくと考えると、ここらできちんと鍛えておかなければならないと決心したわけなのだ。ユーチューブを見ながら家でトレーニングなんて絶対にやらないと誓えるほどだったので、マンツーマンに自分を追い込むしかないとも考えた。

 体験入会の際に付いてくれたのは、説得力のありすぎるマッチョな青年。でも、こうであってほしいものだ。デパ地下の高級コスメ売り場に例えると、店員さんの肌がガサボロであっては売り上げが伸びなさそうだもんね。

 個人の指導表に大きく目標を書く欄があり、私が答えたのは「生きる筋力」! マッチョ青年も半笑いで記入してくれた。だって四十を越えて、仕事での踏ん張る力の衰えを感じていたし、これから歌丸師匠のように人生の最後まで高座に上がっていたいからね。

 同世代の女性がよく書いているらしい、マイナス何キロ! とか、腹筋を割る!とか、足を細くしたい! とかは、二の次なのである。なので、インナーに特化した筋トレをお願いしている。重そうなウエートをガッシャン!とやってるのも、ちょっと憧れるけど、私は同じ態勢でじっとしていたり、自重(じじゅう)で身体をひねったりと、かなり地味!

 しかし結果として、妖怪人間レベルの太さだった極太の足が、人間の極太くらいには細くなったこと。早く人間になりたーい!  が、かなったわけだ。これは思わぬ収穫だ。ま、まだ極太ですけどね、なにか?

0422 P11-蝶花楼桃花のNEWS箸休め

 筋トレのあとは、ゆで卵とササミやアボカドなど、なかやまきんに君さんのような食事(写真)をとります。ふっくらゆでる方法を調べたりして、けっこうおいしくできてるのは自分でも意外だけど、モデル気分でいただきます♡ オラに落語をする筋力を!  パワー!!!

【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 17からの転載】

桃花流おいしい食べ方 【蝶花楼桃花  コラムNEWS箸休め】 画像2

蝶花楼桃花(ちょうかろう・ももか)/東京都出身。春風亭小朝さんに弟子入り後、二ツ目・春風亭ぴっかり☆時代に「浅草芸能大賞」新人賞を受賞。2022年3月、真打ちに昇進し高座名を「蝶花楼桃花」と改める。昇進披露興行、初主任興行、企画にもかかわった全出演者女性による「桃組」はいずれも大入り。今年7月、池袋演芸場で31日間連続ネタおろし独演会「桃花三十一夜」開催。