2025年3月6日。私の師匠である春風亭小朝が70歳になった。私が入門したのが、06年だから、うちの師匠が51歳の時だ。あれから19年。師匠はまったく変わらない。金髪のオジサン妖精なのかもしれないと本気で思う。節目である今回の誕生日。壮大なサプライズを3人の弟子と、師匠のマネージャーさんと考えた。あれこれ考えたが、師匠をユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に無理やり連れて行く!に、決まった。遊園地など、ほとんど興味のない師匠。こんなことでもなければ行かないだろうし、80歳のタイミングでは連れ回すのも難しいだろう。よし、今年決行だ!というわけ。これがお祝いと言うのかは、さておいて・・・。
サプライズの内容はこうだ。仕事の前乗りとしてホテルに泊まってもらう。朝、ホテルの部屋に、手にマリオの帽子を持った二番弟子の五明樓玉の輔(ごめいろう・たまのすけ)師匠が、クリボーの帽子をかぶって現れる。小朝師匠に帽子をかぶせ、そのままパークに〝拉致〟。入り口でピーチ姫の桃花とボム兵のマネージャーさんが師匠の好物のポップコーンを持ってお出迎え。まずは計画を立てようとコーヒーを飲んでいると、そこへクッパをかぶった総領弟子の橘家圓太郎(たちばなや・えんたろう)師匠が現れる。3人の弟子が揃(そろ)ったのでもう終わりかという気持ちになったところで、乗り物に乗ろうと、「スーパー・ニンテンドー・ワールド」エリアへ向かうと、そこにはヨッシーをかぶった二代目林家木久蔵師匠がお出迎え。という具合に、小出しのサプライズ。
何人出てくるのか、どこへ連れていかれるのか分からないという、目まぐるしさ。
少し奮発してエクスプレス・パスを購入したので、並ばずにアトラクションへ。うちの師匠がアトラクションに乗ってる姿なんて見られないから、親のような気持ちになり写真をいっぱい撮ってしまった。1年分歩いたよと言われながらも、少しは?楽しんでくれた様子。
なんだかんだで私たちのワガママに付き合ってくれている優しい主役の師匠。なんだかあべこべ誕生日。
師匠!これからも、ずっと元気な妖精師匠でいてください。70歳のお誕生日本当におめでとうございます。
あ!来年は連れ回さないので、ご安心くださいね。
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 12からの転載】
蝶花楼桃花(ちょうかろう・ももか)/東京都出身。春風亭小朝さんに弟子入り後、二ツ目・春風亭ぴっかり☆時代に「浅草芸能大賞」新人賞を受賞。2022年3月、真打ちに昇進し高座名を「蝶花楼桃花」と改める。昇進披露興行、初主任興行、企画にもかかわった全出演者女性による「桃組」はいずれも大入り。24年7月、31日連続ネタおろし独演会「桃花三十一夜」を池袋演芸場で開催、大成功をおさめる。