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生瀬勝久「後悔は無駄な時間」 興味はこれからの未来【インタビュー】

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 「トリック」「ごくせん」「リーガルハイ」など、数々のヒットドラマに出演し、存在感を発揮してきた生瀬勝久。近年もドラマ、映画、舞台と幅広く活躍し、出演作が途切れることがない。そんな生瀬が、9月9日に開幕する劇団☆新感線(以下、新感線)の最新作、「2022年劇団☆新感線 42周年興行・秋公演 SHINKANSEN☆RX『薔薇とサムライ2-海賊女王の帰還-』」に、ボルマン・ロードス宰相役で出演する。新感線の舞台には5年ぶり2度目の出演となる生瀬に意気込みや見どころ、さらには俳優業への思いを聞いた。

生瀬勝久 (C)エンタメOVO

-新感線の舞台は「『髑髏城の七人』Season風」(17)以来、2度目の出演になります。もっと頻繁に出演しているように思っていたので、意外でした。

 そうなんですよ。個人的には、新感線の皆さんと仲はよかったんですが、舞台に出演する機会はなくて。新感線は、とにかくお客さまにどう楽しんでもらうかということに特化している劇団だと思うので、今の世の中にとって一番必要な劇団なんじゃないかなと思います。僕は自分が楽しくなければ芝居をする意味がないと思っているので、今回も楽しませていただこうと思っています。

-ボルマン・ロードス宰相という役については、今はどのように演じたいと考えていますか。

 僕は、最初に役作りをしたり、どう演じようとはあまり決めない役者なので、実際に現場に入り、相手の方がどう出るかを見ながら作り上げていければと思っています。

-本作の面白さをどこに感じていますか。

 台本を読んだだけではイメージできないところも多いのですが、読み合わせをすることで、人間関係がストレートに入ってきて、それぞれの役柄の個性がとても生きていると感じました。今回、「世代交代」がテーマですが、どういう世代交代をするのかということも含めて、いいお話だと感じました。

-「世代交代」がテーマということですが、生瀬さんは本作でフレッシュな人たちにどんな背中を見せたいですか。

 面倒くさい先輩にはなりたくないなとは思います。劇団員でもないですし、親戚のおじさんでもないですから、僕は若い人たちを育てたいという気持ちは全くないんですよ。もちろん、僕に興味があるのなら何でも聞いてもらえればとは思いますが、現場で楽しんで、一緒に遊べればと思います。

-お話を聞いていると、生瀬さんにとって「楽しいこと」を大切にしているのが分かります。演技を始めた頃からずっと、「楽しい」が続いているんですか。

 そうです。演じることが好きなんでしょうね。

-若手の頃は野心や野望を持っていたんですか。

 昔からないんですよ。柄本明さんや竹中直人さんという好きな先輩たちがいて、その方たちにしか興味がなかったんです。ご一緒したいという思いだけでした。今は、映像でもご一緒することができていますが、お会いするたびに「あなたに憧れて入ったんです」とご本人に伝えていて、「しつこいよ」と言われています(笑)。なので、そうやって影響を与えられる人になればいいなという思いはあります。

-では、芝居の楽しさは、具体的にはどんなところに感じているんですか。

 きっと脳内に快楽物質や何かが出ているんでしょうが、自分では説明できないです。舞台に立ってお客さんに笑っていただいたり、カーテンコールで拍手を頂いたときに、「これだけの人が今の僕らのお芝居を見てくれたんだ」と感じて、それが気持ちいいんだと思います。なので、その気持ち良さのためにやっているので、お仕事だとは思わないでやっているところがあるんです。

-それは映像の仕事でも同じですか。

 お仕事だと思わないという点では一緒ですが、(映像の場合)お客さんが目の前にいるわけではないので、自分を俯瞰(ふかん)して見たり、オンエアを見たりして、自分がイメージしていた通りのキャラクターになっているかどうかを自覚できることが面白いんだと思います。それから、「こんなアプローチをするんだ」とか「この集中力はすごいな」とか、そうしたすごい俳優さんと出会うのも楽しい。もちろん、俳優さんだけでなく、この世界にはとんでもない人がたくさんいます。普通の方とは全く違う考え方をしている方はやっぱりすごいです。そうした方に会って、いろいろな影響を受けて、今の私があると思います。

-俳優として大切にしていることは?

 できる限り、同じ手は使わないということ、それから、「俳優・生瀬勝久」のキャリアは持ち込まないということです。今、自分ができる100パーセント以上の成果を常に出していたいと思っています。