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特撮に目を見張るものがある『沈黙の艦隊』/大阪を舞台にしたピカレスクロマン『BAD LANDS バッド・ランズ』【週末映画コラム】

『沈黙の艦隊』(9月29日公開)

 

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 日本近海で、海上自衛隊の潜水艦がアメリカの原子力潜水艦に衝突して沈没する事故が発生。乗員76名が全員死亡したとの報道に衝撃が走るが、実は乗員は生存しており、衝突事故は日米が極秘裏に建造した日本初の高性能原子力潜水艦「シーバット」に彼らを乗務させるための偽装工作だった。

 だが、艦長の海江田四郎(大沢たかお)はシーバットに核ミサイルを積み、アメリカの指揮下を離れて深海へと姿を消す。海江田をテロリストと認定し、撃沈を図るアメリカ第7艦隊。一方、アメリカより先に捕獲するべくシーバットを追う海自のディーゼル艦「たつなみ」の艦長・深町洋(玉木宏)は、海江田に対して複雑な思いを抱いていた。

 1988~96年に漫画週刊誌『モーニング』に連載された、かわぐちかいじの同名漫画を、大沢がプロデューサーも兼ねて実写映画化した。

 かつてアニメ化はされたが、ストーリーやテーマのスケールの大きさから実写映画化は難しいとされた題材が、CGや特撮の発達によってついに映画化された。

 これは一種のポリティカルフィクションだが、肝心の潜水艦の描写がお粗末なら話にならない。その点、この映画の特撮には目を見張るものがあった。

 また、アニメ業界で奮闘する人々の姿を描いた『ハケンアニメ!』(22)の吉野耕平監督が、前作とは180度違う大作を見事にものにしていたのには驚いた。

 惜しむらくはアメリカ側のキャストが弱すぎる点。スターとまでは言わないが、せめて達者な脇役クラスでも使ってくれたら、印象も随分変わったと思う。

 また、原作発表からかなりの年月がたち、現代にはそぐわないと思ったのか、原作の男性キャラクターを女性に変えたり、原作にはない女性キャラクターを新たに創作しているが、かえって不自然な印象を受けた。なぜ男たちのドラマのままではいけないのか。この場合は、要らぬ忖度(そんたく)という気がした。

 ところで、これはあくまで序章で、当然続編ができるような終わり方だったが、果たして…。