-この映画は、とてもアメリカ的な会話が印象的ですが、特に「あーアメリカ的だな」と思った部分はありましたか。
それは絶対あるんですよね。やっぱり、ベーシックは英語で作られているので。極端な話、キャラクターの口調や表情も、英語のものなんです。でも、それで思い浮かぶのは、『Mr.Boo!ミスター・ブー』などを吹き替えていた広川太一郎さんという声優さんのこと。『キャノンボール』(81)では、「ミスター・ブー」のマイケル・ホイと「007」のロジャー・ムーアの両方をやったすごい人です。広川さんのマイケル・ホイは、オリジナルへのリスペクトは大いに持ちつつも、マイケル・ホイ本人より面白いかも?と思える時があるんです。駄じゃれも含めてむちゃくちゃなことを言っている。僕は子どもの頃、それがすごく好きでした。だから、おこがましいにもほどがあるんだけど、声優をやる時は、いつも広川さんのことがちょっと頭に浮かぶんです。今回も、やっぱり英語を基準に作られているから、そこは超えられないところもあるので、広川さんのことを思い浮かべました。子どもたちに広川さんのように思われたらいいなという気持ちも少しあります。
僕の世代だと、例えば、アル・パチーノは野沢那智さん、ジェームズ・コバーンは小林清志さん、「刑事コロンボ」のピーター・フォークは小池朝雄さん…。小池さんの声じゃないとコロンボを見た気になりませんという人がいる。僕は、中学生ぐらいの時にピーター・フォーク本人の声を聴いて驚いた記憶があるんです。それまでは、コロンボの声は小池さんだとばかり思っていたから。当時は、テレビでやる洋画は吹き替えだったので、そういう現象が生まれたわけです。
-タートルズの4人についてはどう思いましたか。
映画を見終わる頃には、老若男女を問わず、4人のタートルズが好きになると思うんです。まず第一に4人の関係性や役割分担みたいなものが面白い。4人が作る空気感も単純に笑える。でも、彼らは普通のティーンエージャーとして高校に通いたいという夢を持っていて、真面目でひたむきに生きている。だから、観客に愛される要素が詰まっていると思います。自分と同じだと思う人もいるだろうし、若かったのは昔の話だけど懐かしいと思う人、かわいいなと思う人、いろんな感想を持つ人がいると思います。
-完成版を見た印象を。
宮世くんと齊藤(京子)さんは声優初挑戦ということだったんですけど、この2人がものすごくキャラが合っていた。変な欲がなくて素直なんです。宮世くんがやった役は10代のカメ。齊藤さんがやったエイプリルは高校生で記者を夢見ているから、すごく声を張っていました。その素朴さがとてもよかったと思いました。だから僕は自分の声よりもそっちの方がすごいなと思って見ていました。
-最後に観客に向けて一言お願いします。
本当に、年齢を問わず、子どもも大人も年配の方も、それからもちろん性別も問わず、いろんな人が満足できる時間になると思うので、 お友達同士で行ってもいいし、家族と行ってもいいし、カップルで行ってもいいし、1人で行ってもいい。どの組み合わせも全部オッケーだと思うので、 ぜひ皆さんに楽しんでもらえればなという感じでございます。
(取材・文・写真/田中雄二)