-田中光敏監督とのディスカッションや演出で印象に残ったことがあれば。
監督とは初めましてだったんですけど、周りから、とても丁寧に作品を作られる方だと聞いていました。今回は、私が演じた遥海の役が一番難しいっておっしゃってくださって、本番に入る前は、遥海についていろいろ考えたり、語ったり、思いをシェアし合ったりしました。それも、「こういうふうに演じて」じゃないんです。「どう思う。どうしようか。一緒に作っていこうよ」という感じで、ちゃんと私の心の準備ができるまで、信じて待って、見守ってくださいました。それはものすごい愛情で、とても温かいんです。何か母性に近いような愛。この作品のテーマは親子愛でもあるので、監督自身がこの作品の親であり、全部を包んでくださっていたなと思います。そういうすてきな演出をされる方でした。監督ともう1回お仕事をしたいと思う役者さんは多いと思います。
-最後に、映画の見どころと観客に向けて一言お願いします。
監督の愛情で、すごく温かい作品に仕上がっていると思います。遺産相続と親子愛、家族愛をテーマに描いている作品で、許し合えるからこそ、本当の愛情が生まれるのではないかという希望を提示しています。何か心が癒やされるきっかけになると思うので、親子でもいいですし、お一人でもいいですし、見ていただいて心に刺さったら、ぜひご家族にも薦めていただけたらうれしいなと思います。
(取材・文・写真/田中雄二)