-最後に、高畑さんが「愛の讃歌」を歌いますが、宝塚出身として聴いた感じはいかがでしたか。
高畑さんの歌を最後に聞かせていただいて、とても感動しました。本当にすごかったです。おきれいですし、声もすごくすてきですし、シャンソンは一つ一つの言葉を大切にして歌わなければならないのですが、気持ちがこもっているのがよく分かりました。実際に歌っているのを聞いている場面も撮りましたが、感動して涙が出てきました。それまでに教えていた期間を経て、お客さまの前で拍手を頂いているのを見ると、やっぱりすごく感動するんです。ライトが当たった瞬間、高畑さんがとても輝いて見えました。
-この映画に出て、個人的にこういう発見があったとか、価値観が変わったことはありましたか。
もともと興味はあったのですが、この映画に出てから介護や認知症についていろいろと調べたりしています。それで、いろいろなことを早めにやっておかなければと感じましたし、悩んでいるよりもやってみた方がいいとも思いました。この映画を経て、物事をポジティブに考えられるようになりました。ただ、ポジティブな気持ちになるためには、周りのサポートが大切だとも感じました。この映画の家族を、自分の家族と置き換えた時に、そうだなと思うことが山ほど出てきました。
-もともとは宝塚の舞台出身ですが、映画やドラマという映像の仕事は、舞台と比べてどんな印象なのでしょう。新たな挑戦のような感じなのでしょうか。
そうですね。やっぱり最初の頃は、宝塚のイメージがすごく強くて、宝塚をやめてすぐにストレートプレーをやらせていただいた時に、「できるの?」という感じで言われたりもしました。元宝塚に対する厳しい意見は結構多かったです。それから、映像だと「抑えて」「大きい声を出さないで」というのをすごく言われます。マイクがあるので声の調整が難しいのですが、感情が乗ったら大きな声が出てしまうので、そうした葛藤はありました。でも、最近は「そうなっちゃったらしょうがないじゃない」という気持ちになって、あまり気にしなくなりました。映像だと撮り直しができます。だから「悪かったら何か言っていただけるので大丈夫かな」と。そういうところはいろいろと教えていただきながらやっています。
-最後に、映画の見どころも含めて、観客に向けて一言お願いします。
サイドストーリーにはなりますが、お父さん(長塚京三)との関係は、英恵さんにとっては見どころです。聞くところによると、私が酔っ払っているシーンで笑いが起きると。「私強いんですよ」と言っておきながら、すぐに酔っぱらうから、ちょっとかわいらしさを感じさせるところがあるみたいで…。そういうお父さんとのストーリーも楽しんでもらえたらなと思います。この映画は、「楽しく生きる」というのがテーマになっているので、いろんなサポートを受けながらも、前向きになって人生を楽しむというメッセージを受け取って、人生を楽しく過ごしていただけたらと思います。「笑えて、泣けて、役に立つ映画」で、とにかく大原家が最高過ぎて、見ていてずっと楽しいので、いろんな方と一緒に見ていただきたいです。見終わった後は、きっと両親に電話をしたくなると思います。私は電話しました(笑)。
(取材・文・写真/田中雄二)