「お酒の代替品から新たな存在意義へ」――。ノンアルコール飲料を“アルコール0.00%のお酒”と位置付けるサントリーは2月5日、「2025年ノンアルコール飲料戦略説明会」を開催。ノンアル飲料事業を強化するとともに、新たなカテゴリーとして構築する方針を明らかにした。
東京都内で開いた説明会には、鳥井信宏社長と、新設したノンアル部の福本匡志(ただし)部長が登壇した。鳥井社長は「サントリーは創業以来、ワイン、ウイスキー、ビール、ジンと酒類文化を創造してきた」と、これまでの歴史を振り返った上で「ノンアルコール飲料を新たな酒類文化にする」と宣言した。
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▽担当を一元化
サントリーによると、業界全体のノンアルコール飲料市場は、2024年には10年前の1.6倍に拡大。今後も健康意識の高まりやライフスタイルの変化などを背景に需要が一層高まると予測し、同社でこれまでビール本部、スピリッツ本部、ワイン本部それぞれにあったノンアル担当を統合した「ノンアル部」を今年1月1日に新設した。
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福本部長はノンアル市場の推移について、最初の「飲酒運転問題の解決策」から「お酒を我慢するときの代替品」へと移行したと指摘。今後は「ノンアルは清涼飲料ともアルコールとも違う独自の価値を持っている」と話し、新たなカテゴリーとして育てる考えを示した。
消費者がノンアルコール飲料に求めるニーズについて①リフレッシュ②健康機能③お酒の楽しい気分――と分析。「それぞれのニーズに応じてブランドを再構築する」と説明した。
▽サワーを新投入
第1弾として、2010年に発売し定番となったノンアルコールビール「オールフリー」のブランドを生かし、サワーテイストの「オールフリー クリア」(350ミリリットル缶)を4月22日に新発売する。アルコール、カロリー、糖類、プリン体の四つの「ゼロ」で「レモン&ライム」「ビターオレンジ」の2種を投入する。
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▽飲む接点を拡充
このほか、ハイボールやレモンサワーといった「のんある酒場」ブランドもリニューアルし、ラインアップを拡充した上で音楽イベントや2025年大阪・関西万博などでの販売を強化。福本部長は「飲めば『ノンアルもここまで来たか』とわかるはず。魅力に気づいてもらいたい」とアピールした。
鳥井社長は「はじめはノンアル市場がこんなに大きくなると思わなかったが、最近は私の周囲でもノンアルを選択する人が増えている」と話した。鳥井氏は「最も重要なのは、お酒が持つ素晴らしい価値を伝えていくこと。新時代の酒類文化をつくりたい」と強調。「ノンアル=お酒」戦略を展開していく考えを示した。
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