カルチャー

億万長者と無一文を往復したアラビア石油の創業者 日本経済史の‟陰の主役”を知る小説

 

 戦後の日本を救った「影の主役」の真実に迫るノンフィクション小説、『ヤマ師 裸一貫から一代でトヨタ・松下・日立を超える高収益企業を作った破格の傑物「山下太郎」のすべて』(深澤献著、ダイヤモンド社、税込み2200円)が発売された。主人公は、戦後日本の命運を握る「資源確保」という国家的課題に立ち向かい、誰もが不可能だと断じた中東の石油利権を手にした、かつての「アラビア石油」創業者、山下太郎氏。

 山下氏は、周囲から「無謀」「うさんくさい」と言われながらも自らの信念を貫き通し、独自の人脈構築術と交渉術を武器に未来を切り開いた。億万長者と無一文を幾度となく行き来しながら、執念で油田を掘り当て日本を支え続けた、日本経済史の“影の主役”といえる。著者は30年以上にわたり数千人の経営者や職業人たちを取材してきた『週刊ダイヤモンド』元編集長。国際社会で日本がまだ存在感を持たなかった時代、リスクを恐れず裸一貫で世界に挑み続けた山下の生きざまは、自らのリミッターを外す力を授けてくれる。

 ダイヤモンド・オンラインでは、本書の主人公・山下太郎から現代のビジネスパーソンは何を学ぶことができるのか、著者による全15回の書き下ろし連載記事がスタートしている。