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パーキンソン病患者のための着脱が容易な弾性ストッキング 福井大と福井県内 2企業が開発

パーキンソン病患者のための着脱が容易な弾性ストッキング 福井大と福井県内2企業が開発 画像1
福井大学×イーゲート×アサヒマカム 「弾性ストッキング」

 

 福井大学(福井市)は、パーキンソン病患者向けに、丈夫で着脱が容易な弾性ストッキングの共同開発を、福井県内の企業であるイーゲート(福井市)、アサヒマカム(坂井市)と行った。

 超高齢社会の進展に伴い、パーキンソン病患者数は増え続けている。患者の中には、起立性低血圧による立ちくらみを生ずる人が多く、失神するケースもある。対処法として、弾性ストッキングの装着が有効とされているが、従来品は弾性が強すぎ、自力での着用や、高齢者が介護する場合は履かせたり、脱がせたりすることが難しいという。

 そこで、福井大第二内科の濱野忠則准教授らが福井の繊維企業に呼びかけ、2社が協力。丈夫な生地を作製し、ファスナーを付けたことで、着脱が容易になった。

 濱野准教授らはパーキンソン病患者35例に対し、試着してもらったところ、32例で「やや装着しやすい」「とても装着しやすい」という回答を得た。また着用によって、姿勢の変化による血圧の低下が平均5mmHg緩和されたほか、81.3%が「装着により、歩行がしやすくなった」と回答したという。約1年間、ほぼ毎日着用した患者に、ファスナーと接する部分の皮膚損傷などの副作用はなかったという。研究グループは、これらの成果を今年5月に行われた第63回日本神経学会学術大会で発表した。

 研究グループは今後、①起立性低血圧を生じる神経変性疾患、特に多系統萎縮症患者②低血圧や下肢のむくみの治療のために弾性ストッキングを利用している病院勤務の看護師など③エコノミークラス症候群の予防のため、飛行機内での着用―など、幅広く活用法を検討する考えだ。