カルチャー

脱炭素促す愛媛県産品をPR 銀座三越でユニークフェア

 買い物客でにぎわう夕暮れの東京・銀座三越。7階イベントスペースの一角で開かれた愛媛県産品の販促イベント(愛媛県主催)は、バーゲン商品は一つもないのに、なぜか今治タオルにだけ「79%off」「50%off」などのオフ表示の“札”が付いている。もちろん“割引値札”ではないので、数値の“本当の意味”を知ると、お得感から手に取った人の多くはいったん落胆するが、すぐに違った関心を呼び起こされるようで、このオフ表示商品を手放す人は意外に少ない。

温室効果ガス削減の“オフ表記”
温室効果ガス削減の“オフ表記”

 このオフ表示の数字は、二酸化炭素など温室効果ガスの削減率(換算値)を意味する。例えば、79%オフ表示の今治タオル商品の場合は、製造過程でどうしても余ってしまう糸や布の切れ端を再利用するなどの工夫で、通常の製造手法なら発生する温室効果ガスを79%削減した商品であることを意味する、という。

デカボスコアの説明パネル
デカボスコアの説明パネル

 この温室効果ガス削減数値を考案し「デカボスコア」と名付けて普及を目指すのが、博報堂と三井物産の共同事業体「アースハックス」(東京)。プロジェクトリーダーの関根澄人さんは「“デカボ”は脱炭素化を意味する英語デカーボナイゼーションから拝借した造語。楽しみながら気軽に脱炭素に貢献できる消費行動を促すきっかけになればと思い考案した」と話す。現在約100点の商品にデカボスコアを付けており、関根さんは「将来的には、多くの人が消費行動の参考にする“脱炭素化指標”に育ってくれれば」と野心的な目標を掲げる。

アースハックスの関根澄人さん
アースハックスの関根澄人さん

 脱炭素化商品を好む消費者は徐々に増えているようだ。愛媛県産品の販促イベントで展示された、今治タオルの製造時に必ず出る廃棄部分のタオル地の“端”を再利用して作った包装用タオル「贈(おく)るみ」には、多くの人が関心を示した。愛媛みかんのゼリーなどイベント商品を購入した人を対象に、購入商品をこの「贈るみ」で包装するサービスを実施したところ、希望者が想定を上回り、用意した40個の「贈るみ」は2日間でなくなった、という。

風呂敷のように使える「贈るみ」
風呂敷のように使える「贈るみ」

 「贈るみ」は、愛媛県の県産品を脱炭素化するPR事業の中で生まれたアイデア。県事業に参画してこの「贈るみ」を考えた大学生4人のチームの一員、千葉大3年の木之下麻衣さん(22)は「“贈るみ”は、包みをほどいた後は顔を拭いたりするタオルとして繰り返し使える。今治タオルの新しい使い方の一つとして提案した。来場者から環境のためになる良いアイデアと言われて、うれしかった」と語る。「贈るみ」は今後、実サービス化も検討される、という。

木之下麻衣さん
木之下麻衣さん

 愛媛県産品の販促イベント「愛媛百貨じぶんにも地球にもやさしいフェア」は2月22~28日開催。愛媛県内の企業12社が参加し、今治タオルのほか、愛媛みかんのジュース・ゼリー、真珠商品など100点以上の愛媛県産商品を並べた。