ヨーロッパや中東で、さまざまな模様と材質のタイルの美しさに圧倒されることが多い。日本では、1922年(大正11)に「タイル」という統一名称が定められている。この名称統一100周年を記念して、日本におけるタイルの歴史と、それを通じて見える暮らしや建築の変化を紹介する特別展、「日本のタイル100年―美と用のあゆみ」が、3月11日~8月20日まで東京の江戸東京たてもの園(東京都歴史文化財団・東京)で開催される。
古代エジプトが起源とされるタイルは、その耐久性と汚れを落としやすい特性から、世界各地に広まり、日本にもさまざまな地域から伝わった。伝来の経緯から多様な名で呼ばれていたこの薄板状の焼きものは、西洋建築の隆盛や生活様式の変化により需要が高まった大正時代に、「タイル」と呼ぶことが定められている。
特別展では、名称統一以前までに醸成されてきたタイル文化の変遷をたどりながら、台所、トイレや洗面所、ビルや大学、地下鉄の駅、銭湯など、さまざまな場で使われてきた日本のタイルの歩みを時代背景とともに紹介する。