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角田訳『源氏物語』が文庫版で登場 疾走感ある現代語訳

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 世界最古の長編小説、紫式部の『源氏物語』。世界中で読まれている日本文学最大の傑作だが、これを読破するにはそれなりの“体力”がいる。でも、現代語訳ならその体力もさほど厳しくは問われない。角田光代訳『(河出文庫)源氏物語』全8巻(河出書房新社・東京)が10月から刊行される。疾走感ある現代語訳だ。読書の秋、未読ならこれを機にページを繰ってみよう。

 「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」収録作品として上・中・下巻で刊行されたものの全訳版。約1000年前に書かれた『源氏物語』は、桐壺(きりつぼ)から夢浮橋(ゆめのうきはし)まで五十四帖で成り立ち、輝く皇子として生まれた光源氏が、女たちとさまざまな恋愛を繰り広げる華麗な物語であると同時に、生と死、無常観など人生や社会の深淵が描かれている。

 これまで与謝野晶子、谷崎潤一郎、円地文子、瀬戸内寂聴など、文豪たちが現代語訳に挑み、さまざまな訳が出ている。その面白さは、やはり長篇小説ならではの仕掛けや巧みな構成にあり、ある程度短時間のうちに通読しなければ、本当の面白さには出合えないともいわれている。まずは『源氏物語 1(河出文庫・古典新訳コレクション)』(税込み880円)から。