カルチャー

世界遺産「松下村塾」を未来へつなぎたい  吉田松陰をまつる松陰神社「大規模修繕プロジェクト」が始動

 江戸時代後期の武士(長州藩士)・思想家の吉田松陰が、明治維新を成し遂げた多くの武士を育てた「松下村塾」(山口県萩市)。松陰は29歳で生涯を閉じたが、松下村塾は、当時の場所に当時の建物のまま現存している。開塾から180年が経過し、幾度もの補修工事を経て劣化も目立つ中、松下村塾とそれを取り巻く「松陰神社」の境内を保存して後世に伝えていくために、同神社が大規模修繕プロジェクトをスタートした。

 「松下村塾」と松陰の実家である「吉田松陰幽囚ノ旧宅」は、ともに松陰神社境内にあり、ユネスコ世界文化遺産に指定されている。老朽化に加え度重なる落雷で被害を受けているが、コロナ期間中の参拝者数が7割減という状況や、建築資材の原価高騰などの影響もあり、修繕費用の捻出が非常に難しくなっている。ホームページなどでの広報活動や特別朱印の頒布などにも取り組んできたが、このたび、クラウドファンディングを通じて広く支援を募ることになった。

 Z世代や“推し活”での来訪と思われる人たちの参拝も多いという松陰神社。同神社では、幅広い世代の人たちに、20代で日本を変えようとした松陰の“維新魂”を伝えていくことを使命と考えているという。

 特に優先的に修繕に取り組みたいとしているのは、「松下村塾」「杉家旧宅幽囚室」と、萩藩7代目藩主・毛利重就が建築した茶室「花月楼」。クラウドファンディングでの支援受け付けは8月31日(土)まで。11月以降にリターンの配送、2025年1月以降に大規模修繕の着工を予定している。

 クラウドファンディングのコースは、礼状とサイトへの氏名掲載をリターンとする「純粋支援コース」から用意。今回限りのリターンとして、神職以外は入室できない「宝物殿至誠館の収蔵庫特別見学」に招待するコースも。その他、クラウドファンディング限定デザインの「特別限定御朱印帳」、松陰筆「志」の入ったお守り「志守(こころざしまもり)」、「松下村塾での宮司による特別村塾講話」、「吉田松陰像(ミニチュアブロンズ像)」、「巫女着付け・撮影体験」(女性限定)、「松下村塾 蔵書印」(シリアルナンバー入り)、萩市特産品「見蘭牛・むつみ豚セット」・「萩の海産物セット」などバラエティーに富んだリターンを支援額に応じて用意している。