エンタメ

日本の女性映画人の業績を再確認  1970-1980年代の74作品を上映

 戦後の高度成長が落ち着くにつれ、女性の活躍も多方面に広がりを見せていく。例えば映画界。国立映画アーカイブ(文化庁)では、2月6日から「日本の女性映画人(2)――1970-1980年代」を開催する。映画界の構造変化の中で躍進した女性映画人たちを取り上げ、監督・脚本・製作などの分野に着目して、劇映画からドキュメンタリーまで計74作品(47プログラム)を上映する。

 1970年代以降は、独立プロを基盤に女性監督たちが活路を切り開いていく時代。女優出身の左幸子氏『遠い一本の道』(1977)や宮城まり子氏『ねむの木の詩がきこえる』(1977)は、社会運動に根差した題材で大きな反響を呼び、自主製作の動向から頭角を現した鵞樹丸氏は『わらじ片っぽ』(1976)で前衛的表現を開拓した。80年代にかけて続々と女性が監督を手がけるようになり、作品の多様化が顕著になっていく。

『わらじ片っぽ』(1976年)
『わらじ片っぽ』(1976年)

 一方、女性脚本家たちの台頭もこの時期の特徴。『メカゴジラの逆襲』(1975)の高山由紀子氏や『ビー・バップ・ハイスクール』(1985)の那須真知子氏などが娯楽映画に新風を吹き込んだ。

 小特集として取り上げられるのは、記録映画作家。音声を画と対等に捉えて革新的なドキュメンタリーを打ち出した時枝俊江氏と、女性史を語り継ぐ作品群を手がけた藤原智子氏の業績を再評価する。

main