回転ずしチェーン「くら寿司」で、回転レーンによって運ばれてくる商品を覆っている透明なカバーには名前がある。『抗菌寿司カバー鮮度くん』という。運営するくら寿司(大阪府堺市)が特許を持つ、その“鮮度くん”がこのたび、公益社団法人発明協会主催の、優れた発明、考案または意匠を生み出した技術者・研究開発者を顕彰する「令和6年度 近畿地方発明表彰」で「発明奨励賞」を受賞することに。
「地方発明表彰」とは、全国を8地方(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州)に分け、各地方における発明の奨励・育成を図って科学技術の向上と地域産業の振興に寄与することを目的に、1921年(大正10年)に創設されたもの。コロナ禍や迷惑行為の問題によって、回転レーンでのすしの提供を廃止する回転ずしチェーンが増えているが、くら寿司は“鮮度くん”のおかげで安全性と鮮度を維持。回転レーンでの商品提供を続けることで、記憶に残る楽しい店舗体験を実現している。
具体的には、カバーそのものによる物理的な衛生・品質管理だけでなく、カバー上部につけたQRタグにより、すしがレーン上に滞在する時間と、レーン上にすしを流す適切なタイミングを管理。一定時間経過した商品を取り除く安全性に加え、来店人数と座席への案内時間から予測するレーン上の商品の消費量と、カバーにつけたQRタグから読み取るすしの消費状況を合わせて判断することで、必要なタイミングでの適切な種類と量の提供を可能にした。受賞に際し、田中邦彦社長がコメントを寄せた。
「長い歴史を持つ名誉ある賞を頂き、感謝申し上げます。海外ではこのカバーがないと営業できない地域もあります。今や回転レーンでおすしを提供しているのは大手チェーンで当社のみとなりましたが、回転レーンでの提供を可能にしているのは、このすしカバーです。おすしを回して提供すること自体が1つのエンターテインメントとして国内外からご支持いただいている中、日本が誇る外食のモデルとして、回転ずしを世界にも発信していければと考えています」