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“故郷の味”存続に危機 漬物店の倒産や廃業が過去最多ぺース

 自宅で漬物を作らなくても、和食に欠かせない、と買って食べる人は多いだろう。だが、帝国データバンク(東京)によると、今年の漬物店の倒産や休廃業は過去最多ぺースだという。故郷の味存続は危機的状況だ。

 2024年1月~9月30日までの期間、負債1000万円以上の法的整理による倒産が集計対象。食品スーパーや道の駅などの小売店向けに、野菜類を原料とした漬物を生産・販売する「漬物店」の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は8件、休廃業・解散(廃業)は16件で、合わせて26件が市場から消滅した。23年通年の件数、18件をすでに上回っており、年間で過去最多となる可能性がある。

 帝国データバンクの分析によると、漬物店を取り巻く経営環境は食のし好多様化に加え、価格が安定しない原材料野菜、経営者や就農者で進む高齢化の「三重苦」に直面している。消費量は20年で3割超減少。漬物原料の野菜も、国産では天候不順、海外産では円安が加わり、さらにしょう油などの調味料、人件費、配送費、資材費などもコスト高が続き、収益が厳しい漬物店が多いという。

 さらに今年6月からは食品衛生法の改正・施行で漬物製造が保健所による営業許可制となり、衛生基準に合致した加工所の整備など巨額の設備投資費用を迫られたことが輪をかけ、リタイアを決断するケースなどもあるという。