『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』(12月5日公開)

太平洋戦争末期の昭和19年。21歳の日本兵・田丸均(声:板垣李光人)は、南国の美しい島・パラオのペリリュー島にいた。漫画家志望の田丸はその才能を買われ、亡くなった仲間の最期の雄姿を遺族に向けて書き記す「功績係」という任務に就いた。
やがて米軍の猛攻が始まり、日本軍は追い詰められていく。いつ死ぬか分からない恐怖、飢えや渇き、伝染病にも襲われ、極限状態に追い込まれていく中で、田丸は正しいことが何なのかも分からないまま、仲間の死を、時にうそを交えて美談に仕立て上げていく。
そんな田丸の支えとなったのは、同期でありながら頼れる上等兵の吉敷佳助(声:中村倫也)の存在だった。2人は互いに励まし合い、苦悩を分かち合いながら絆を深めていくが…。
戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティーで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した同名戦争漫画をアニメーション映画化。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリュー島を舞台に、極限状態の中でも懸命に生きた若者たちの姿を描く。
監督は久慈悟郎。脚本は西村ジュンジと原作者の武田一義が共同執筆。アニメーション制作はシンエイ動画と冨嶽が共同で担った。
史実では、日本の統治下にあったペリリュー島に1944年9月に米軍が上陸。激戦の末、日本軍兵士のほぼ全員に当たる約1万人が戦死し、生き残ったのは34人だけだった。生還者を取材した原作者は史実を基に若い兵士の視点で漫画を描き上げた。
親しみやすい三頭身のキャラクターが戦場の悲惨な現実に直面していく姿に、最初はアンバランスさや違和感を覚えるが、慣れてくると、これはアニメーション(漫画)の特性の一つで、二次元で描くことで残酷な描写が緩和される半面、メルヘンタッチが逆に悲惨さを強調するという二面性を表現していることに気付く。
今も世界各地で戦禍が絶えない中、改めて戦争のむごさや理不尽さを思い知らせる力を持った映画だと言えるだろう。









