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気候変動・経済的不平等に関する大人の行動は不十分 全国の子どもたちにNGOセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンがアンケート調査

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 スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんは早くから気候問題について訴え、大人の行動を求めている環境活動家として知られる。日本の子どもたちも約半数が気候変動・経済的不平等に関する大人の行動は不十分だと認識していることが分かった。

 公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(東京)は、2022年7月25日~27日に日本に住む15歳から18歳の子どもを対象に気候変動と経済的不平等に関するアンケート調査を行った。47都道府県の1,085人から有効回答を得た。

 調査では、子どもたちの66%が、大人の中でも特に「日本政府・国会議員」の「行動は不十分で、もっと行動をとるべき」だと考えていると回答。次いで52%の子どもたちが問題視しているのは「自治体や日本の各地域でリーダーの役割を果たす大人」だと分かった。

 具体的な意見としては「使い捨ての時代はもうやめたほうがいい」、「子どもやそれ以降の世代のことを考えて政策をしたり、もっと早い段階から子どもが政治に関わったり世の中について考える機会を設けた方が良い」などがあった。

 回答した子どもたちのうち約4人に3人(約75%)が、気候変動と経済的不平等の両方、もしくはどちらかが自分の周りや日本に影響を与えている、と認識していることが分かった一方で、影響を与えていないとしたのはわずかに3%だった。

 どのような変化があるか聞かれ、77.0%の子どもたちが雨の量や頻度、気温、台風の数など「気象や天候」と答えた。また海や川の水位、森林、農作物にとっての良い土など「環境」と回答したのが60.2%、「子どもたちの精神的な健康」を挙げたのが53.2%だった。

 住んでいる社会に最も影響を与えていると思う自然災害は何かと問われ、56%の子どもたちが「地震・火山」と答え、次いで「台風」で46%、「猛暑・熱波」の45%、「洪水」の25%となり、気候危機が身近に迫っていることを示した。

 さらに「気候危機や経済的不平等の課題について、あなたはすでに何か行動していますか」と問われ、すでに行動を起こしている子どもは多くない(15%)が、はじめてみたいと考える子どもが4割近く存在していることが明らかに。

 具体的に子どもたちがとっている行動例としては「SDGs(持続的開発のための目標)について学ぶ、実践する」、「ゴミを減らす、分別する」、「節電、節水」、「リサイクル」、「ボランティア活動」、「学校での活動」などがあった。

 子どもたちが大人に望む支援については「必要な資金」と答えた割合が一番多くて37%、「子どもたちの声を大人、特にものごとを決定する立場にいる大人に届けるためのサポート」が35%、「活動を企画、運営するために必要な安全な場所の提供」が32%だった。

 調査では日本以外の子どもたちへの影響も訊ねているが、約4人に3人以上の子どもたちが気候変動と経済的不平等はグローバルな課題だと認識。約5人に3人の子どもたちが「国によって責任の大きさが違う」と考えており、半数以上が「経済的に豊かな国」、4分の1が「経済が急成長している国」の責任が大きいと回答した。

 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのアドボカシー部の堀江由美子氏は「(今回の調査では、)気候変動と経済的不平等について、多くの子どもたちが自分の身の回りや国内外に影響を与える問題だと捉え、実際に気候や環境、そして精神的な健康を悪化させていると認識していること、一方で大人の取り組みは不十分だと考えていることが分かりました」と語る。

 「気候変動も経済的不平等も、子どもたちが作り出した問題ではないにもかかわらず、子どもたちにとっての大きな脅威になっていることは明らかです。大人は、子どもたちの声に耳を傾け、子どもたちの声に基づいて行動を起こす必要があります」と堀江氏は続けた。

 セーブ・ザ・チルドレンは、1919年に創設された、子ども支援活動を行う民間・非営利の国際組織で、現在、約120か国で活動中。子どもの権利のパイオニアとして知られる。1986年にセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが設立された。